抄録 |
症例は79歳男性。2003年胆嚢摘出術の既往あり。2012年4月肝胆道系酵素の上昇認め前医受診、胆嚢管癌と診断され化学放射線療法予定であった。2012年5月当院紹介 根治的治療を希望され手術の方針となった。右肝動脈、門脈浸潤を認めたため拡大右葉切除予定としたが残肝volumeが少なかったため、術前に門脈塞栓術を行った後2012年7月13日に手術を施行した。術後1病日 出血性ショックとなり再度開腹、RHA断端からの出血および門脈吻合部からのoozingがあり縫合止血を行った。その後DICおよび肝不全傾向であったが徐々に回復するも術後8病日再度出血性ショックとなった。同日緊急血管造影検査施行、仮性動脈瘤からの出血を認め同部位をコイリングし、瘤形成や出血の予防目的に右肝動脈断端もコイリングを行った。翌日施行した血管造影検査では肝動脈が描出されなかった為、術後11病日に回結腸動静脈シャントを作成した。血漿交換などを行い状態の安定化をはかるも術後18病日ドレーンおよび創部から新鮮血があふれ出るほどの出血をきたし、CT上門脈吻合部からの出血と診断された。開腹での処置は困難であろうとの判断にて当科コンサルト、同日門脈ステント留置を試みた。門脈造影にて吻合部より造影剤が漏出するのを確認。経皮経肝的に12mmx6cmのNiti covered stentを留置、造影剤の漏出が消失したのを確認して終了した。その後貧血の進行は止まったが肝不全から多臓器不全の状態となり術後25病日患者は死亡した。門脈ステントにて緊急時止血し得た症例を経験したのでここに報告する。 |