セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 034:

EUS-FNAにて診断し部分切除術を施行した十二指腸水平脚GISTの2例

演者 井上 匡央(岐阜県立多治見病院 消化器内科)
共同演者 西江 裕忠(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 福定 繁紀(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 加地 謙太(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 夏目 まこと(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 安部 快紀(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 西 祐二(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 水島 隆史(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 奥村 文浩(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 佐野 仁(岐阜県立多治見病院 消化器内科)
抄録 【諸言】十二指腸GISTは比較的稀な疾患であり、特に水平脚が原発の場合は解剖学的位置から診断、術式の選択に苦慮することが多い。今回術前にEUS-FNAにて診断し、十二指腸部分切除術を施行した水平脚原発GISTの 2例を経験したので報告する。【症例1】57歳、女性。貧血精査目的に施行した上部消化管内視鏡検査にて下十二指腸角から水平脚にかけて頂部に発赤、浅いびらんを伴う粘膜下腫瘍を認め当院紹介となった。腹部造影CTでは下十二指腸角から水平脚に連続して、内部に石灰化を伴う、辺縁優位に濃染される約25mm大の腫瘤を認めた。超音波内視鏡では第4層由来と考えられ、内部は低エコー、不均一であった。びらん部よりの生検は陰性であり確定診断目的にEUS-FNAを施行した。病理組織検査では紡錘形細胞の増生を認め、免疫染色でc-kit+, CD34+, S-100-, SMA一部陽性であり、GISTの診断にて十二指腸部分切除術を施行した。最終病理診断も生検組織と同一であり、MIB1は2%であった。【症例2】36歳、男性。検診腹部超音波検査にて膵鈎部に腫瘤疑われ当院紹介となった。腹部造影CTでは膵鈎部と十二指腸水平脚に接して約20mm大の濃染される円形の腫瘤を認めた。小腸内視鏡による観察では病変部と思われる部位で軽度圧排所見を認めるのみで、粘膜変化は認めなかった。超音波内視鏡では病変は十二指腸第4層と連続しており、膵由来ではなく壁外発育型の十二指腸粘膜下腫瘍と考えられた。確定診断目的にEUS-FNAを施行した。病理組織検査では紡錘形細胞の増生を認め、免疫染色ではc-kit+, CD34+, S-100-, desmin-を示し、GISTの診断にて十二指腸部分切除術を施行した。最終病理診断は生検組織と同一で、MIB1は 3%であった。【考察】十二指腸GISTは比較的稀で、特により肛門側の病変では診断に難渋することが多い。治療法は外科的切除が第一選択であり、原則部分切除が推奨されている。自験例ではEUS-FNAを行うことにより術前診断が可能となり、治療方針の決定に有用であった。十二指腸GISTに関し若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 十二指腸GIST, EUS-FNA