セッション情報 一般演題

タイトル 077:

化学放射線療法中に意識障害を伴う高アンモニア血症を来した食道癌の1例

演者 吉峰 崇(名古屋第二赤十字病院 消化器内科)
共同演者 澤木 明(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 野尻 優(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 大脇 俊宏(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 青木 美帆(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 岩崎 弘靖(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 野村 智史(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 金本 高明(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 日下部 篤宣(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 蟹江 浩(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 坂 哲臣(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 山田 智則(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 林 克己(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 折戸 悦朗(名古屋第二赤十字病院 消化器内科)
抄録 切除不能食道癌の予後は不良であるが,その全身化学療法の標準治療は5-fluorouracil(FU)とシスプラチン(CDDP)である.本治療では,腎障害,骨髄抑制,粘膜障害などの有害事象がみられるが,稀な有害事象として高アンモニア血症が報告されている.今回5-FU+CDDP投与後,高アンモニア血症による意識障害を来した切除不能食道癌の1例を経験したので報告する.症例は67歳,男性で,主訴は嚥下困難であった.既往歴は10歳代に虫垂炎で手術.35歳時に胃潰瘍で手術.糖尿病,高血圧.HBVの感染既往あり.生活歴は喫煙なし,飲酒はウイスキー100ml/日.現病歴は2012年3月より,嚥下困難を自覚し当院耳鼻咽喉科を受診.CTにて食道腫瘍,腹部リンパ節腫大を認めたため,当科紹介受診.精査にて食道癌(扁平上皮癌,中分化型),多発リンパ節転移を認めたことからstageIVa(T3N4M0)と診断した.切除不能と判断し,同年5月より化学放射線療法を開始した(5-FU 700mg/m² Day1-4,CDDP 70mg/m² Day1).Day7より,意識障害(JCS I-2)が出現した.画像所見において白質脳症の所見も認めず,また血中電解質濃度にも異常はなく,肝機能障害もなかったが,血中アンモニア値132μmol/Lと高アンモニア血症を認めた.脳波所見でも代謝性脳症を疑う三相波がみられた.その後,血中アンモニア値の低下とともに意識障害は改善され,症状は消失した.肝機能はもともと正常範囲内であり,高アンモニア血症を来した原因としては5-FUが最も可能性が高いと考えらえた.肝機能異常のない例に対する5-FU投与の有害事象として高アンモニア血症を来した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 5-FU, 高アンモニア血症