セッション情報 一般演題

タイトル 087:

IgE高値、好酸球増多を呈した良性胆道狭窄の一例

演者 奥野 真理(静岡県立総合病院 消化器内科)
共同演者 菊山 正隆(静岡県立総合病院 消化器内科), 永倉 千紗子(静岡県立総合病院 消化器内科), 上田 樹(静岡県立総合病院 消化器内科), 重友 美紀(静岡県立総合病院 消化器内科), 山田 友世(静岡県立総合病院 消化器内科), 黒上 貴史(静岡県立総合病院 消化器内科), 白根 尚文(静岡県立総合病院 消化器内科), 鈴木 直之(静岡県立総合病院 消化器内科)
抄録 症例は60歳代女性。2006年肝機能障害にて当科紹介。受診時T-Bil5.5mg/dl、D-Bil3.6mg/dl、AST117U/l、ALT122U/l、LD332U/l、ALP1761U/l、γ-GTP361U/lと肝胆道系酵素の上昇の他、白血球23600μl(好酸球63.0%)と好酸球増多、及びRIST172.0IU/mlと軽度の上昇を認めた。IgG4は60.7mg/dlと正常値であった。MRCPでは肝内胆管の多発狭窄を認め、ERCPでは中部胆管の狭窄が描出された。胆管生検では壊死物質と単核球浸潤のみの所見であった。前医でIgE2500mg/dlと高値を指摘されており、気管支喘息を合併していたことからアレルギー性肉芽腫性血管炎が疑われ、それに随伴した胆管炎の可能性が考えられた。PSL40mg/日の投与を開始したところ肝胆道系酵素及び好酸球数は低下傾向となったが、画像上胆管狭窄は残存した。現在も外来加療中であり、PSL10mg/日にて好酸球、肝胆道系酵素ともにほぼ正常範囲内にコントロールされているが、胆管壁肥厚は消失することなくむしろ増悪傾向を認めている。壁肥厚部は偏側性、表面不整であるが、現時点で生検にて悪性所見は指摘されていない。アレルギー性肉芽腫性血管炎は好酸球増多を伴う全身性血管炎であり、末梢神経炎、紫斑、消化管潰瘍、脳梗塞など多彩な症状を呈するが、胆管炎を併発した例の報告は少ない。今回我々は好酸球増多を呈し、アレルギー性肉芽腫性血管炎が疑われる症例に合併した良性胆道狭窄及び胆管炎の一例を経験した。特徴的な画像所見を呈した貴重な症例と考え、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 好酸球増多, 良性胆道狭窄