セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 070:

エンテカビル投与中のB型慢性肝炎に発症した脾原発悪性リンパ腫の1例

演者 東堀 諒(安城更生病院 消化器内科 )
共同演者 三浦 眞之祐(安城更生病院 消化器内科 ), 脇田 重徳(安城更生病院 消化器内科 ), 宮本 康雄(安城更生病院 消化器内科 ), 鈴木 悠土(安城更生病院 消化器内科 ), 小屋 敏也(安城更生病院 消化器内科 ), 市川 雄平(安城更生病院 消化器内科 ), 岡田 昭久(安城更生病院 消化器内科 ), 馬渕 龍彦(安城更生病院 消化器内科 ), 竹内 真実子(安城更生病院 消化器内科 ), 細井 努(安城更生病院 消化器内科 ), 山田 雅彦(安城更生病院 消化器内科 )
抄録 【はじめに】悪性リンパ腫は造血臓器を中心に全身に浸潤・増殖する腫瘍であり,その中でも非ホジキンリンパ腫では脾臓への浸潤がしばしば見られる.しかし脾原発悪性リンパ腫は稀であり,全悪性リンパ腫の約1%程度と報告されている.またC型肝炎ウイルス(HCV)とB細胞性非ホジキンリンパ腫との関連性を示す報告はいくつか散見されるが,B型肝炎ウイルス(HBV)に合併する悪性リンパ腫の報告例は少ない.今回われわれは、B型慢性肝炎の治療中に発症した脾原発悪性リンパ腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.【症例】症例は60代女性.1998年12月よりB型慢性肝炎にて当院消化器内科に通院中であった.血液検査所見では,HBe抗原は陰性,HBe抗体は陽性で既にseroconversionしていたが,ASTとALTの軽度上昇があり,HBV-DNA量が6.0 logコピー/mlと高値であったため,2010年12月エンテカビル内服開始し,以後肝機能は安定していた.HBV-DNA量も検出感度以下となった.2012年6月,慢性B型肝炎の定期検査の腹部超音波検査で,脾臓の一部に不整な低エコー病変を指摘された.腹部造影CT検査を施行すると,脾門部に境界不明瞭な50×40 mm低吸収域の腫瘤性病変を認めた.脾臓の被膜外への浸潤は認めなかった.PET-CTでは,腹部造影CTの腫瘤性病変に一致してFDGの強い集積を認めた. IL-2R抗体は40U/mlと正常値であった.以上より,脾原発悪性リンパ腫を疑い組織学的診断のために外科へ紹介となった.2012年8月8日に脾臓摘出術を施行した.開腹すると,脾門部に約40mmの腫瘤を認めた.脾門部リンパ節を含め,腹腔内のリンパ節腫大は他には認められなかった.病理組織学的検査では結節状に増生した小型のリンパ球主体の集簇病変が占めており,免疫特殊染色ではCD20陽性,CD10陽性,Bcl2陽性を示し濾胞性リンパ種と診断となった.術後に骨髄穿刺を施行したが骨髄へのリンパ腫の浸潤は認めなかった.【結語】エンテカビル投与中のB型慢性肝炎に発症した脾原発性悪性リンパ腫の1例を経験したので報告した.
索引用語 脾腫瘍, 悪性リンパ腫