セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 025:

精巣癌治療後9年を経て、上部消化管に多彩な病型を呈した未分化大細胞型リンパ腫の1例

演者 丸田 明範(岐阜県総合医療センター 消化器内科)
共同演者 中村 みき(岐阜県総合医療センター 消化器内科), 長谷川 恒輔(岐阜県総合医療センター 消化器内科), 若山 孝英(岐阜県総合医療センター 消化器内科), 山内 貴裕(岐阜県総合医療センター 消化器内科), 安藤 暢洋(岐阜県総合医療センター 消化器内科), 大島 靖広(岐阜県総合医療センター 消化器内科), 岩田 圭介(岐阜県総合医療センター 消化器内科), 芋瀬 基明(岐阜県総合医療センター 消化器内科), 清水 省吾(岐阜県総合医療センター 消化器内科), 杉原 潤一(岐阜県総合医療センター 消化器内科), 天野 和雄(岐阜県総合医療センター 消化器内科), 岩田 仁(岐阜県総合医療センター 病理診断科)
抄録 【症例】48歳、男性。【既往歴】2003年に左精巣癌手術および放射線治療を受けていた。【現病歴・臨床経過】2012年7月に心窩部痛、腹部膨満感を自覚し近医受診。内服で様子見るも症状の改善無く、当科紹介受診となった。血液データ上は炎症反応の上昇なく、腫瘍マーカーはCEA、CA19-9とも正常範囲内であった。CTで後腹膜腔に74mm大の不均一な造影効果を示すSOLを認め、内部には壊死を疑う低濃度域を伴っていた。また腫瘍は十二指腸水平部を圧迫しており、腫瘍浸潤を疑う所見であった。さらに傍大動脈領域、腸間膜領域、胃小弯側に多発するリンパ節腫大を認めた。PET-CTでは十二指腸水平部の腫瘤と頚部、縦隔、食道・胃周囲、傍大動脈領域、腸間膜領域の腫大リンパ節に異常集積を認めた。GIF施行したところ胃噴門部小弯側に表面に潰瘍を伴う粘膜下腫瘍様病変を認めた。当初は精巣癌の胃・十二指腸転移および多発リンパ節転移を疑ったが、十二指腸水平部にも内腔の大部分を占拠する2/3周性の隆起性病変あり、壁外浸潤を示唆する非上皮性の粘膜変化が認められた。十二指腸水平部腫瘍からの生検にてMalignant lymphoma(Anaplastic large cell lymphoma,ALK positive)と診断された。可溶性IL-2レセプターも31086U/mlと著明高値であった。なおALK陽性であり、化学療法に対する高い感受性が期待された。【治療】治療効果に伴う消化管穿孔を念頭におき、細心の注意をはらいながらCHOP療法開始した。CHOP1クール施行後のGIFでは胃噴門部の腫瘤は赤色瘢痕化しており、また十二指腸水平部の腫瘍も著明な縮小が確認され、スコープの通過は容易となった。【考察】精巣癌の既往があるため、その再発と消化管・リンパ節転移を考えたが、免疫染色の結果、悪性リンパ腫と診断し得た。精巣癌と悪性リンパ腫の合併は稀で、精巣癌に対する放射線照射の二次発癌の可能性も示唆された。【結語】今回我々は、精巣癌治療後9年を経て上部消化管に多彩な病型を呈した未分化大細胞型リンパ腫の1例を経験したので、文献的考察を加えて報告した。
索引用語 上部消化管, 悪性リンパ腫