セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 083:

胆管断端神経腫の一切除例

演者 木下 雄貴(豊橋市民病院 消化器内科)
共同演者 松原 浩(豊橋市民病院 消化器内科), 浦野 文博(豊橋市民病院 消化器内科), 内藤 岳人(豊橋市民病院 消化器内科), 藤田 基和(豊橋市民病院 消化器内科), 山田 雅弘(豊橋市民病院 消化器内科), 北畠 秀介(豊橋市民病院 消化器内科), 山本 英子(豊橋市民病院 消化器内科), 樋口 俊哉(豊橋市民病院 消化器内科), 田中 浩敬(豊橋市民病院 消化器内科), 田中 卓(豊橋市民病院 消化器内科), 廣瀬 崇(豊橋市民病院 消化器内科), 岡村 正造(豊橋市民病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】胆管断端神経腫は外科的操作で切断された神経断端においてSchwann 細胞および神経軸索が再生、増殖した肉芽組織である。胆嚢摘出術後の0.23% に発生する比較的稀な良性疾患であるが、悪性疾患との鑑別は極めて困難とされている。今回我々は、胆管断端神経腫の一切除例を経験したので報告する。【症例】70歳代女性。【既往歴】28年前に胆石症に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術施行。【現病歴】検診で指摘された胃粘膜下腫瘍に対して近医で経過観察を行っていたところ、増大傾向を認め当科紹介。腹部造影CT検査で噴門部背側に2.5cm大の腫瘍とともに、総胆管に造影効果のある片側性の病変を認めたため精査入院となった。超音波内視鏡検査では、噴門部小弯前壁に第4層由来の胃粘膜下腫瘍を認め、胃GIST と考えられた。胆管病変は、胆嚢管遺残部から総胆管に突出する8×7mm大の内部均一な低エコー病変を認めた。内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査を施行したところ、胆管直接造影では異常を認めなかったが、引き続いて施行した管腔内超音波検査では、遺残胆嚢管に無エコー域を有する内部均一な低エコー病変を認めた。経乳頭的胆管生検を施行し、病理学的に病変部、肝門部、膵上縁は正常粘膜であった。既往と画像所見から、胆管断端神経腫を強く疑ったが、完全な悪性疾患の否定は困難であり、増大傾向を認める胃粘膜下腫瘍に対する胃部分切除術とともに、胆管切除・胆管空腸吻合術を施行した。胃粘膜下腫瘍の術後病理所見は、2cm大の結節状の腫瘍であり、紡錘形細胞が錯綜状に配列、免疫染色はC-kit(+)、mitosis<1/50HPT で、Fletcher 分類でlow risk の胃GIST の診断であった。胆管病変は、胆管壁に1cm大の神経線維の著明な増生を認め、胆管断端神経腫と最終診断された。【考察】術前診断では胆管断端神経腫を鑑別の第一に挙げたが、胃GIST と併存することで外科的手術となった。良性疾患を疑った以上、術中迅速病理診断を行い術式決定するなど、工夫の余地もあったと思われる。胆嚢摘出術後の症例では、胆管断端神経腫を念頭に置いて診断を進め、侵襲の少ない治療を考慮することが重要と考えられた。
索引用語 胆管断端神経腫, 超音波内視鏡