セッション情報 |
一般演題(研修医(卒後2年迄))
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タイトル |
019:後腹膜転移にて再発し水腎症を来したpStageIB胃癌の1例
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演者 |
加藤 亜唯(済生会松阪総合病院 内科) |
共同演者 |
河俣 浩之(済生会松阪総合病院 内科), 鈴木 康夫(済生会松阪総合病院 内科), 三吉 彩子(済生会松阪総合病院 内科), 青木 雅俊(済生会松阪総合病院 内科), 福家 洋之(済生会松阪総合病院 内科), 橋本 章(済生会松阪総合病院 内科), 脇田 喜弘(済生会松阪総合病院 内科), 清水 敦哉(済生会松阪総合病院 内科), 田中 穣(済生会松阪総合病院 外科), 長沼 達史(済生会松阪総合病院 外科), 中島 啓吾(済生会松阪総合病院 内科) |
抄録 |
【症例】60歳代女性、平成21年1月心窩部痛にて胃内視鏡検査を施行。胃体中部後壁に軽度のひだ集中を伴う不整な陥凹性病変を認め、生検は低分化腺癌であった。腹部超音波検査、CTなどでリンパ節腫脹、他臓器転移を認めず、早期胃癌0-IIc, por,T1b,N0,M0,cStageIAと診断した。平成22年2月に腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(D1+郭清)を施行した。摘出標本の病理組織学的結果はpor2,T2,N0,M0,ly1,v1,pStageIBであった。胃癌治療ガイドラインに準拠し術後補助化学療法は施行せず、経過観察とした。手術1年後に腫瘍マーカー測定、胃内視鏡検査、腹部超音波検査、CTを施行したが明らかな再発の所見は認められなかった。しかし手術2年後の平成24年3月には左水腎症が出現。CT、MRIでは左上部尿管拡張を認めたが、明らかな閉塞を来す腫瘤は認めなかった。逆行性尿路造影では約3cmにわたる尿管狭窄像を呈した。また腫瘍マーカー上昇、他臓器転移、リンパ節腫脹など胃癌の再発を疑う所見は確認できなかった。尿細胞診にて移行上皮の異型細胞が検出され、左尿管癌の疑いで5月に左腎尿管全摘術を施行した。術中所見では明らかな腹膜播種は認めなかった。病理組織学的には尿管上皮は異型性を示さず、尿管周囲に腫大した核を持つ異型細胞が線維化を伴って増殖し、2年前に切除された胃癌の組織像と類似していた。以上より胃癌の腎・尿管周囲への転移と診断した。術後再発胃癌の化学療法目的で内科紹介となった。内科受診時には右側にも水腎症を認めた。PET-CTでは有意な集積は認めなかった。右腎瘻造設を行い、その後腎機能は改善しTS-1+CDDPによる治療を開始した。現在化学療法を継続中である。【結語】pStageIB胃癌術後に水腎症のみで再発した症例を経験した。病理組織学的に胃癌の腎・尿管周囲などの後腹膜への転移と診断したが、本症例では腫瘍マーカー上昇や他臓器転移、リンパ節腫脹などは認めず、腹膜播種を示唆する所見も乏しく、胃癌再発の診断が困難であった。水腎症のみで発症する胃癌再発症例は比較的稀であり、貴重な症例と判断し報告する。 |
索引用語 |
胃癌, 水腎症 |