セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 031:

IVR-CT併用での塞栓術が奏功した胃動静脈奇形様病変の一例

演者 海野 修平(聖隷浜松病院 消化器内科)
共同演者 室久 剛(聖隷浜松病院 消化器内科), 瀧浪 将貴(聖隷浜松病院 消化器内科), 小林 陽介(聖隷浜松病院 消化器内科), 田村 智(聖隷浜松病院 消化器内科), 木全 政晴(聖隷浜松病院 消化器内科), 芳澤 社(聖隷浜松病院 消化器内科), 舘野 誠(聖隷浜松病院 消化器内科), 熊岡 浩子(聖隷浜松病院 消化器内科), 清水 恵理奈(聖隷浜松病院 消化器内科), 細田 佳佐(聖隷浜松病院 消化器内科), 長澤 正通(聖隷浜松病院 消化器内科), 佐藤 嘉彦(聖隷浜松病院 消化器内科)
抄録 症例は67歳男性。2008年に原因不明の上部消化管出血での入院既往がある。2012年1月他院にて脊椎動静脈瘻に対し脊椎硬膜動静脈塞栓術を施行。術後両下肢不全対麻痺・神経因性膀胱が残存するため、近医にてリハビリ中であった。3/29タール便と、Hb15から9への低下がみられた。上部消化管内視鏡(GIF)で胃内に黒色残渣を認めたが出血源の特定はできず。保存的治療後も再出血がみられたため。4/10当院転院となった。GIFでは胃底部大彎に小びらんを伴った皺壁の限局性肥厚像を認めた。2008年および前医内視鏡写真を検討し、同様の変化を認めた。CTでは脾動脈および総肝動脈の閉塞がみられ、胃底部に著明な血管増生を認めた。左胃動脈から胃底部~体上部へ血流が流れ、胃粘膜内の異常血管を介し、短胃動脈を逆行した血流が脾臓への供血路となっていると考えられた。EUSでは病変部に粘膜下の異常血管増生がみられ、ECDUSで拍動性の血流を認め、胃動静脈奇形が疑われた。外科的治療では胃全摘・脾摘と侵襲が大きくなるためIVRでの治療を選択した。腹部血管造影では胃底部に異常血管増生を認め、左胃動脈→胃壁→短胃動脈→脾臓への供血を確認できた。GIFにて病変部近傍にclipでマーキングし、IVR-CT併用下に左胃動脈分枝をコイル塞栓した。治療後CTで胃内の異常血管の血流は消失し、GIFで隆起は平坦化し、ECDUSで血流は消失した。周囲粘膜には静脈うっ滞を示すアレア強調像が強く出現がみられ、動脈-動脈吻合間に静脈路を介していたと考えられた。治療後は問題なく退院となり、以後出血は認めていない。胃動静脈奇形様病変からの出血に対して、血管造影下の塞栓術が奏効した。胃の動静脈奇形様病変に対するIVR治療成功例は極めて少なく、貴重な症例と考え報告する。
索引用語 胃動静脈奇形, AVM