セッション情報 シンポジウム 「自己免疫関連消化器疾患の診断と治療」

タイトル S-008:

当院における自己免疫性膵炎の検討

演者 大畠 昭彦(藤枝市立総合病院 消化器科)
共同演者 丸山 保彦(藤枝市立総合病院 消化器科), 景岡 正信(藤枝市立総合病院 消化器科), 森 雅史(藤枝市立総合病院 消化器科), 志村 輝幸(藤枝市立総合病院 消化器科), 宇於崎 宏城(藤枝市立総合病院 消化器科), 渡辺 文利(浜松南病院 消化器科)
抄録 【目的】当院での自己免疫性膵炎(AIP)の臨床像を明らかにする。【対象と方法】当院において2001年5月~2012年8月にAIPと診断した17例に対しretrospectiveに診断、治療、経過の検討を行う。【患者背景】男女比14:3、平均年齢66.3歳、主な受診契機 腹痛4例、黄疸4例、画像検査による胆管・膵異常4例、糖尿病の既往10例。平均観察期間は1828日。【検討項目】(1)診断当時の診断基準と2011年の診断基準の比較、(2)膵外病変、(3)治療、(4)再燃例【結果】(1)すべての症例は診断基準2011で準確診以上であった。診断当時の診断基準を満たしていなかったものは4例で、診断基準2002以前の症例が1例あった。当時の診断基準を満たさなかった5例中3例はステロイドで改善、1例は無治療、1例は膵癌を疑い手術を行った。(2)最も多い硬化性胆管炎は17例中10例に認め膵病変と同時発症が8例、膵病変に先行して発症したものが2例であった。(3)ステロイド治療が13例、未治療が3例、膵癌の診断で手術を行ったものが1例であった。ステロイド治療例ではいずれも短期間で画像上改善が認められていた。(4)AIPと診断されてからの再燃例は2例であった。1例は維持療法中でAIP発症後2年して肝炎症性偽腫瘍で再燃。それから4年後ステロイドを中止したが、中止後7ヶ月で後腹膜線維症を認めた。もう1例は自然軽快したが、14か月後膵腫大で再燃しステロイドを開始した。【考察】診断においては、以前の症例で診断基準を満たさないものの中に現行の診断基準でにおけるステロイドのオプションにあてはまる症例が見られた。また、膵外病変の中には長期間の経過観察をすることでAIPの発症で診断がつくこともあり長期間の経過観察も重要と考えられた。治療においては少数であるが他臓器病変での再燃が特徴的であった。【結語】膵外病変は長期経過観察が必要なことがある。ステロイド治療は短期的な反応は良好だが、維持療法中に他臓器病変の発症という形での再燃がみられた。
索引用語 自己免疫性膵炎, 臨床像