セッション情報 一般演題

タイトル 004:

診断に難渋したIPMCの一例

演者 富永 雄一郎(医療法人 山下病院)
共同演者 富田 誠(医療法人 山下病院), 小田 雄一(医療法人 山下病院), 服部 昌志(医療法人 山下病院), 磯部 祥(医療法人 山下病院), 広瀬 健(医療法人 山下病院), 服部 外志之(医療法人 山下病院), 中澤 三郎(医療法人 山下病院)
抄録 症例は75歳男性。上腹部痛を主訴に近医を受診、精査目的に当院を紹介された。腹部超音波検査にて、膵鈎部に40mm×33mm大で、一部高エコー領域が散在する低エコー腫瘤を認めた。上部消化管内視鏡検査では、主乳頭開口部は開大し新鮮血の流出を認め、主乳頭近傍に壁外圧排所見も認めた。膵DynamicCT検査では、動脈相で正常膵実質部に比べ若干弱いものの腫瘤内に造影効果を認めた。門脈相、平衡相では正常膵実質部より造影効果は弱く、腫瘤周囲を正常膵実質が取り囲む様に観察された。また、全時相を通じて腫瘤中心部にY字様に造影効果を有しない部位を認めた。腫瘤の尾側主膵管は約10mmに不整拡張していたが、分枝の拡張は同定できなかった。Sonazoidを用いた造影超音波検査では、早期相で高輝度、門脈相で低輝度、実質相では内部に一部染影効果を認めない部位が散在して観察された。中心部に造影効果を認めない不整形を有し、腫瘤は全体的に造影効果を認め、造影超音波検査で腫瘤内部にCapture mode(最大輝度値を保持する描出法)で、微小嚢胞と思われる低エコー領域を認めたことなど、主膵管の高度拡張を伴う点でIPMNと鑑別が困難であったが、SCN solid typeを考慮した。乳頭からの出血が持続することより、本人、家族に十分なICを実施し、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を実施した。病理結果はintraductal papillary-mucinus carcinoma,invasive,INFβ,ly1,v0,ne0,βmpd(+),pT3、膵管内に乳頭状に増殖する膵管内粘液性腺癌の像が70%程度を占めるが、30%は細かい胞巣を形成して浸潤増殖する比較的低分化な浸潤癌であった。今回我々は診断に難渋した巨大IPMCを経験したので、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 IPMC, SCN