セッション情報 一般演題

タイトル 064:

緊急手術を行い救命し得た壊死型虚血性腸炎の1例

演者 金光 芳生(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科)
共同演者 平野  克治(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 廿楽 裕徳(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 佐藤 俊輔(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 成田 諭隆(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 菊池 哲(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 玄田 拓哉(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 飯島 克順(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 杉本 起一(外科), 伊藤 智彰(外科), 佐藤 浩一(外科), 市田 隆文(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】虚血性腸炎の重症型である壊死型虚血性腸炎は、術前診断が困難なことが多く、死亡率も高いとされている。今回、緊急手術を施行し救命し得た壊死型虚血性腸炎の1例を経験したので報告する。【症例】64歳女性。【既往歴】2011年2月より多発性骨髄腫にて血液内科で加療を受けていた。2型糖尿病のためインシュリンが導入されていた。【現病歴】2012年7月、腹痛と血便を主訴に救急外来を受診した。採血検査にて貧血があり、CT検査にて大腸の浮腫性変化を認めたため、虚血性腸炎を疑い腸管安静目的に入院となった。【検査成績】白血球数 4100/μl、CRP 0.3mg/dlと炎症反応を認めていないが、赤血球数 192x104/μl、Hb 6.7g/dlと高度の貧血が認められた。また、Albが2.0g/dlと低値でTPが9.9g/dlと高くIgAは8075mg/dlと異常高値であり、骨髄腫は活動性であった。【臨床経過】入院時は軽症であったが、第2病日には白血球数 11300/μl、CRP 17.0mg/dlと炎症反応の異常高値を認め、Hbは輸血を行うも4.4g/dlとさらに低下し、腹部診察所見では筋性防御を伴っていた。再度施行したCT検査では腹水の増加が認められ、腹水穿刺では腹水の性状は血性であった。汎発性腹膜炎と腹腔内出血が疑われ、緊急で開腹手術となった。開腹所見では、結腸はS状結腸から下行結腸にかけて漿膜面が黒褐色に変色し、さらに腹腔内に出血を認めた。結腸亜全摘・下行結腸人工肛門造設術を施行したところ再出血を認めず、炎症反応も低下し、術後経過良好にて第18病日に軽快退院した。今後外来にて骨髄腫の治療を継続していく予定である。【考察】虚血性腸炎は多くが保存的治療にて軽快するが、本例のように原疾患が難治性であっても、腸管壊死が疑われた場合には躊躇せず、緊急手術を行うべきと考えられた。
索引用語 壊死型虚血性腸炎, 緊急手術