セッション情報 一般演題

タイトル 022:

EUS-FNABが診断に有用であった食道胃接合部癌の1例

演者 田野 俊介(三重大学 医学部 附属病院 光学医療診療部)
共同演者 葛原 正樹(三重大学 医学部 附属病院 光学医療診療部), 稲垣 悠二(三重大学 医学部 附属病院 消化器・肝臓内科), 野尻 圭一郎(三重大学 医学部 附属病院 消化器・肝臓内科), 二宮 克仁(三重大学 医学部 附属病院 消化器・肝臓内科), 山田 玲子(三重大学 医学部 附属病院 消化器・肝臓内科), 井上 宏之(三重大学 医学部 附属病院 消化器・肝臓内科), 濱田 康彦(三重大学 医学部 附属病院 光学医療診療部), 堀木 紀行(三重大学 医学部 附属病院 光学医療診療部), 竹井 謙之(三重大学 医学部 附属病院 消化器・肝臓内科)
抄録 症例は77歳の男性。主訴はつかえ感。現病歴はH23年10月よりつかえ感があり、食事摂取も困難となり他院を受診した。上部消化管内視鏡で食道胃接合部に狭窄を認めたが、同部位の生検では悪性所見は認めなかった。また、腹部CTでも異常なく近隣病院で経過観察となった。その後も食事摂取が困難であり、精査目的でH24年3月に当院を紹介受診、入院となった。上部消化管内視鏡で食道胃接合部に強い狭窄を認め、経鼻用細径ファイバーが通過不可であり狭窄部は観察できなかったが、狭窄部からの生検では悪性所見を認めなかった。しかし、腹部CTでは胃噴門部に造影効果のある腫瘤を認めた。このため再度上部消化管内視鏡を行い、食道胃接合部の狭窄部にバルーン拡張術を施行した後に胃内から胃噴門部を観察したが、璧肥厚は認めるものの明らかな上皮性の変化は認めなかった。PET-CTでは胃噴門部への集積があり悪性の可能性が高いと考えられた。このためEUS-FNABを施行した。食道胃接合部の18mm大の低エコー腫瘤に対して施行し腺癌の診断であった。食道胃接合部癌による狭窄と考え、当院消化管外科にて胃全摘術、Roux-en-Y再建術が施行された。切除標本では食道胃接合部に4×2.5×3.8cm大の充実性腫瘤を認めた。病理所見で腫瘤は中分化から低分化成分を伴う高分化管状腺癌で漿膜下層まで進展していた。狭窄部と思われる部位では粘膜表層にまで癌が露出していたが、肛門側および食道の粘膜表層には癌の露出がない部分を認めた。最終的に食道胃接合部癌T3N0M0 stageIIaと診断した。当院での観察では食道胃接合部は非常に強い狭窄を呈しており、また観察可能な部位では癌が表層に露出していなかったため通常の上部消化管内視鏡では診断が困難であった。しかし、今回EUS-FNABで術前診断が可能であり、その有用性が示された1例であり若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 食道胃接合部癌, EUS-FNAB