セッション情報 一般演題

タイトル 042:

腹部MRI検査でEOBの取り込みを認めた多血性肝腫瘤の1例

演者 西垣 信宏(磐田市立総合病院 消化器内科)
共同演者 笹田 雄三(磐田市立総合病院 消化器内科), 高鳥 真吾(磐田市立総合病院 消化器内科), 伊藤 潤(磐田市立総合病院 消化器内科), 森川 友裕(磐田市立総合病院 消化器内科), 辻 敦(磐田市立総合病院 消化器内科), 高橋 百合美(磐田市立総合病院 消化器内科), 斎田 康彦(磐田市立総合病院 消化器内科), 犬飼 政美(磐田市立総合病院 消化器内科), 落合 秀人(磐田市立総合病院 消化器外科), 鈴木 昌八(磐田市立総合病院 消化器外科), 谷岡 書彦(磐田市立総合病院 病理診断科), 柴崎 泰(浜松医科大 2外科), 坂口 孝宣(浜松医科大 2外科)
抄録 症例は29歳男性。平成21年8月健康診断にて肝機能障害、脂質異常症を指摘され近医受診。腹部USで肝S8に約8cmの腫瘤を指摘されたため、同月当院紹介受診。血液検査ではASTは 正常だがALT 64と軽度の肝機能障害を認め、肝炎ウイルスマーカーはHBs抗原、HBc抗体、HCV抗体すべて陰性。腫瘍マーカーはAFP は正常だがPIVKA-2は92と軽度高値であった。腹部CTでは、単純にて内部に不均一な低濃度域を伴う約9cmの腫瘤を認め、造影早期では腫瘤は不均一に染まり腫瘤内部に入る血管が描出されておりモザイク状と表現されるパターンを呈していた。造影後の平衡相では肝実質よりわずかに高濃度を呈していた。EOB造影MRIでは、T2強調画像やT1強調画像、拡散強調画像においては、背景肝とそれほどの信号強度差を認めず。肝細胞造影相においては不均一ながらも全体としては高信号を呈していた。以上の画像所見より、肝細胞腺腫やFNHの可能性も考えられたが、肝細胞癌の否定ができないため外科的手術の方針となった。切除標本の病理組織にて、肝腫瘤性病変は異型に乏しい肝細胞類似の細胞から成っており、内部にグリソン鞘はみられなかった。胆汁うっ滞が強く、典型的とはいえないが肝細胞腺腫が考えられた。また非腫瘍部には脂肪肝の所見がみられた。OATP8の免疫染色で腫瘍細胞は陽性を示し、EOB造影MRIの肝細胞相で高信号を呈したこととの関連が示唆された。肝細胞腺腫とEOB造影MRI所見、OATP8などのトランスポーターに関する報告は少なく、今後さらなる検討が必要と考えられる。
索引用語 肝細胞腺腫, EOB