セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 041:

自然退縮をきたした肝細胞癌の1例

演者 松永 英里香(浜松医療センター)
共同演者 影山 富士人(浜松医療センター), 山崎 哲(浜松医療センター), 石田 夏樹(浜松医療センター), 太田 和義(浜松医療センター), 下山 真(浜松医療センター), 松浦 愛(浜松医療センター), 森 泰希(浜松医療センター), 岩岡 泰志(浜松医療センター), 住吉 信一(浜松医療センター), 高井 哲成(浜松医療センター), 本城 裕美子(浜松医療センター), 吉井 重人(浜松医療センター), 山田 正美(浜松医療センター)
抄録 【症例】82歳男性。60歳代よりC型慢性肝炎を指摘されていた。近医で加療中にエコーで肝腫瘍を指摘されたため2009年12月に当科紹介受診となった。エコーでは肝尾状葉に76mm大のhypoechoic massを認め、CTおよびMRIでも同部位に11.5×7.5cmの腫瘍を認めた。腫瘍マーカーもAFP13ng/ml、PIVKA2 868mAU/mlと上昇しており、肝細胞癌と診断した。アシアロシンチにおいて肝予備能が比較的保たれおり、外科的切除が検討された。しかし、積極的治療を望まれず近医での経過観察を希望された。2012年8月に魚骨によるS状結腸穿孔を来し当院外科にて単純閉鎖術が施行されたが、このときの入院時CTにおいて肝腫瘍は消失していた。エコーで再評価したがCTと同様に腫瘍は指摘されなかった。腫瘍マーカーもAFP2ng/ml、PIVKA2 16mAU/mlと正常化しており自然退縮を来したと判断した。現在まで再発を認めず、引き続き外来で慎重に経過観察を続けている。【考察】悪性腫瘍の自然退縮は稀な病態であり、無治療またはそれと同等な状況下で腫瘍の部分的または完全消失と考えられる。肝細胞癌においては頻度は低くその原因も不明な点が多い。腫瘍の急速な増大や出血による虚血や、免疫能の関与、感染症の合併、腫瘍増殖要因の消失(アンドロゲンや飲酒、喫煙等)などが挙げられているが、メカニズムは未だ明らかではない。今回我々は、魚骨による消化管穿孔を契機に判明した肝細胞癌の自然退縮例を経験し、興味深い症例と考えられたため、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝細胞癌, 自然退縮