セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 026:

胃病変にて診断されたびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の一例

演者 鈴木 健人(蒲郡市民病院 消化器内科)
共同演者 加藤 泰輔(蒲郡市民病院 消化器内科), 成田 圭(蒲郡市民病院 消化器内科), 佐宗 俊(蒲郡市民病院 消化器内科), 安藤 朝章(蒲郡市民病院 消化器内科), 安達 興一(名古屋大学アイソトープ総合センター)
抄録 【症例】88歳 男性。【主訴】咽頭痛。【既往歴】糖尿病、B型肝炎キャリア。【現病歴】2011年12月、咽頭痛を主訴に当院耳鼻科受診し、左扁桃周囲腫脹を認めた。精査目的で施行した頚部CTにて甲状腺右葉下極から胸骨上端にかけての腫瘤を認め、また左咽頭間隙にも腫瘤を認めた。腫瘤の増大傾向もあり精査加療目的のため入院となった。【入院後経過】頚部腫瘤増大による気道閉塞のため気管切開を施行した。また腫瘍マーカーはCEA4.1 ng/ml、CA19-9 13U/ml、sIL-2R 1540U/mlとsIL-2Rが高値であった。上部消化管内視鏡検査において胃体部大弯に表面にびらんのある小隆起性病変を認め、生検後の免疫染色でCD20(+)、CD79a(+)、CD3(-)、CD5(-)、CD10(-)、Bcl-2(-)、Bcl-6(+)、MUM-1(-)、cytokeratin(-)、EMA(-)であり、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(以下DLBCL)と診断された。Gaシンチにて左頚部、上縦隔に強い集積を認め、胃付近への集積は軽度であった。その後1ヶ月の経過で消化管出血を発症し、上部消化管内視鏡検査では円形から類円形の下掘れの深い多発性潰瘍を認めた。各種検査所見よりDLBCL stage3B、IPIはhigh riskと診断し、R-CHOP療法を開始した。深部静脈血栓症を併発し5クールで終了となったが、上部消化管内視鏡検査では胃の多発潰瘍性病変の瘢痕化を認め、同時に行った生検にて悪性所見なしとの診断であった。またGaシンチ、CTにおいて頚部病変の縮小、胃病変の消失を認めたが、左傍咽頭間隙に残存を認めていた。その後、リツキサン単剤で治療継続したが心不全、肝不全を併発し死亡となった。【考察】今回、頚部腫瘤に関する生検では有意な所見が得られず、胃生検の免疫染色によりDLBCLと確定診断された。本症例は気道閉塞、消化管出血を伴う胃病変が急速に進行し、R-CHOP療法により組織レベルまで改善を確認できた症例であり、各種画像、検査データを示しながら報告する。
索引用語 DLBCL, R-CHOP