セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | 055:特発性自己免疫性好中球減少症を合併した単純性潰瘍の一例 |
演者 | 加藤 雅一(浜松医科大学 第一内科) |
共同演者 | 谷 伸也(浜松医科大学 第一内科), 金子 雅直(浜松医科大学 第一内科), 市川 仁美(浜松医科大学 第一内科), 鈴木 聡(浜松医科大学 第一内科), 佐原 秀(浜松医科大学 第一内科), 大石 慎司(浜松医科大学 第一内科), 魚谷 貴洋(浜松医科大学 第一内科), 寺井 智宏(浜松医科大学 第一内科), 山出 美穂子(浜松医科大学 第一内科), 高柳 泰宏(浜松医科大学 第一内科), 岩泉 守哉(浜松医科大学 第一内科), 栗山 茂(浜松医科大学 第一内科), 山田 貴教(浜松医科大学 第一内科), 杉本 光繁(浜松医科大学 第一内科), 大澤 惠(光学医療診療部), 杉本 建(浜松医科大学 第一内科), 金岡 繁(分子診断学), 古田 隆久(臨床研究管理センター) |
抄録 | 60歳男性。H2X年4月より臍周囲の腹痛を自覚、6月に症状増悪しT総合病院に入院、回腸末端の類円形潰瘍、好中球減少を指摘され、精査にて単純性潰瘍、特発性好中球減少症の診断でPSL70mg/日で開始された。これにより腹痛、好中球減少は一旦改善したが、漸減に伴い再増悪しPSLを継続していた。H2Y年1月末より腹痛、好中球減少が再増悪しM病院入院、精査加療目的に当科に2月14日転院となった。経肛門的小腸ダブルバルーン内視鏡(以下DBE)では回腸に類円形の潰瘍が多発し、病理結果は非特異的炎症であり、消化管外病変を伴わないことから単純性潰瘍に矛盾しないと考えた。好中球減少に関しては、骨髄検査を施行したが診断に至らなかった。当科転院後は腹部症状改善していたことからメサラジン内服追加で経過を見る方針として2月28日退院した。しかし、3月4日発熱、腹痛を認めT総合病院入院を経て3月12日再び精査加療目的に入院となった。好中球減少に対しG-CSF連日投与したが、好中球の上昇に伴い腹痛の増悪を認めDBE上も回腸病変は増悪し、G-CSF製剤による好中球の増加が消化管病変の増悪の原因と考え投与を中止した。その後抗好中球抗体陽性であったことから、単純性潰瘍に特発性自己免疫性好中球減少症(以下特発性AIN)を合併した症例と考え、PSL60mg/日にて治療を開始し、PSLの減量に伴いCsAを投与した。これにより回腸病変、好中球減少ともに改善し5月26日退院となった。Behcet病(以下BD)は好中球機能異常に伴う自己炎症症候群と考えられ、また腸管BDと単純性潰瘍は類似した病態と考えられている。MDSと腸管BDを合併した症例では、好中球減少に対してG-CSF製剤を使用すると腸管病変が増悪することが報告されており、本症例も同様の機序で回腸病変が増悪したと考えられた。特発性AINの成人例は本邦では8例ほどの報告があるのみで、また単純性潰瘍に特発性AINを合併した報告は検索しえた限りでは皆無であった。稀な症例と考えられ、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 単純性潰瘍, 好中球減少 |