セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 039:

IFN少量長期療法中にダイナミックなウイルス量の変動が見られた高齢女性のC型慢性肝炎の1例

演者 武藤 久哲(愛知県厚生連海南病院 消化器内科)
共同演者 青木 聡典(愛知県厚生連海南病院 消化器内科), 荒川 直之(愛知県厚生連海南病院 消化器内科), 久保田 稔(愛知県厚生連海南病院 消化器内科), 石川 大介(愛知県厚生連海南病院 消化器内科), 國井 伸(愛知県厚生連海南病院 消化器内科), 渡辺 一正(愛知県厚生連海南病院 消化器内科), 奥村 明彦(愛知県厚生連海南病院 消化器内科)
抄録 症例は82歳の女性。15年以上前からC型慢性肝炎として近医にてフォローアップされていたが、トランスアミナーゼの上昇はほとんどなかった。しかし約1年前から徐々にトランスアミナーゼが上昇し、ウルソデオキシコール酸と肝庇護剤の注射などを試みるも効果がないため近医から紹介された。初診時には、GOT 56 IU/ml、GPT 60 IU/mlと肝機能異常を認め、HCV-RNA 6.0 logIU/ml、セロタイプは1型であった。高齢ではあったが患者さんと相談の結果、IFN少量長期療法を開始した。PegIFNα2a 45μg を隔週で投与したところ、HCV-RNAは治療開始後12週で一旦陰性化し、トランスアミナーゼも正常化した。しかし20週頃より徐々にトランスアミナーゼの再上昇とともにHCV-RNAが陽性化し、28週時には4.8 logIU/mlまで上昇した。抗IFNα抗体は陰性であったため、PegIFNα2aを90μg に増量して隔週で投与したところ、その4週後にはHCV-RNAは再度陰性化した。そこでPegIFNα2a 45μg に戻して隔週で投与したところ、4週後には再度HCV-RNAが再度陽性化し、トランスアミナーゼは再再上昇した。このため再度PegIFNα2aを90μg に増量して隔週で投与したところ、その4週後にはHCV-RNAは陰性化し、トランスアミナーゼも正常化した。現在90μg隔週投与を継続中であるがHCV-RNA陰性、トランスアミナーゼ正常の状態を維持できている。治療中発熱などの副作用はほとんどみられていない。IFN少量長期療法は、高齢者に対しても比較的安全に施行でき、トランスアミナーゼのコントロールに有用であるが、ウイルス量をモニターしながら投与量を調節することが有効である症例がある。
索引用語 IFN少量長期療法, ウイルス量の変動