セッション情報 一般演題

タイトル 006:

術前補助化学放射線療法で切除可能となったborderline resectable膵癌の1例

演者 坂口 将文(愛知県がnセンター 中央病院 消化器内科)
共同演者 肱岡 範(愛知県がnセンター 中央病院 消化器内科), 水野 伸匡(愛知県がnセンター 中央病院 消化器内科), 原 和生(愛知県がnセンター 中央病院 消化器内科), 今岡 大(愛知県がnセンター 中央病院 消化器内科), 田近 正洋(愛知県がんセンター 中央病院 内視鏡部), 近藤 真也(愛知県がんセンター 中央病院 内視鏡部), 田中 努(愛知県がんセンター 中央病院 内視鏡部), 永塩 美邦(愛知県がnセンター 中央病院 消化器内科), 長谷川 俊之(愛知県がnセンター 中央病院 消化器内科), 大林 友彦(愛知県がnセンター 中央病院 消化器内科), 品川 秋秀(愛知県がnセンター 中央病院 消化器内科), 関根 匡成(愛知県がnセンター 中央病院 消化器内科), 石原 健二(愛知県がnセンター 中央病院 消化器内科), 吉澤 尚彦(愛知県がnセンター 中央病院 消化器内科), 清水 泰博(愛知県がんセンター 中央病院 消化器外科), 谷田部 恭(愛知県がんセンター 中央病院 遺伝子病理診断部), 丹羽 康正(愛知県がんセンター 中央病院 内視鏡部), 山雄 健次(愛知県がnセンター 中央病院 消化器内科)
抄録 【症例】67歳、男性。既往として5年前から糖尿病がある。尿の濃染を自覚し近医受診、腹部CT・腹部MRIにて膵鈎部癌が疑われ、精査加療目的に当科を受診した。EUSで膵鈎部に21mm大の腫瘤を認め、SMAへの浸潤および#17bリンパ節転移が疑われた。EUS-FNAにて腺癌を認め、膵鈎部癌(cT4N1M0:cStage4a)と診断した。CT所見からはSMAへ180度以下で浸潤しており、当院外科と協議しborderline resectableと判断した。患者には切除は可能ではあるものの、病巣の遺残の可能性があることを説明し、R0手術を目指した術前治療も選択肢の一つと説明したところ、化学放射線治療を希望された。閉塞性黄疸に対してEBDにて減黄を行った後、化学放射線療法としてTS-1(TS-1 120mg/日:放射線照射日のみ内服)および放射線治療(1.8Gy/回 総線量 50.4Gy/28回)を行い、放射線治療終了後はTS-1 120mg/日(Day1-14, 21日毎)を引き続き投与した。化学放射線療法に伴う有害事象として、下痢(G1)、食欲不振(G2)、悪心(G2)、手足症候群(G1)が認められた。化学放射線療法後の腹部CTで原発巣は縮小し、SMA浸潤部の軟部影も減少し、さらにFDG-PETでその他の臓器に転移は認めなかった。また、腫瘍マーカーもDUPAN-2が771U/MLから76U/MLへ減少していたため手術適応ありと判断し、放射線治療開始後16週目に膵頭十二指腸切除術および2群リンパ節廓清を行った。切除標本の病理学的検索では、腫瘍はほぼ膵内に留まり切除断端はいずれも陰性、さらに動脈周囲神経叢は線維化のみで、癌細胞は認められなかった。リンパ節転移は、切除膵に接着していたリンパ節のみ陽性であった。術前補助化学放射線療法の治療効果としてはGrade2と判断した。最終的にypT3N1M0, ypStage2Bと診断した。術後3か月経過した現在、術後補助化学療法としてゲムシタビン単剤療法を行っている。【まとめ】術前補助化学放射線療法を行い、治癒切除が得られたborderline resectable膵癌の1例を経験した。
索引用語 borderline resectable膵癌, 術前補助化学放射線療法