セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 014:

経過中に膵石を発生した自己免疫性膵炎の一例

演者 片岡 邦夫(豊橋市民病院 消化器内科)
共同演者 松原 浩(豊橋市民病院 消化器内科), 浦野 文博(豊橋市民病院 消化器内科), 内藤 岳人(豊橋市民病院 消化器内科), 藤田 基和(豊橋市民病院 消化器内科), 山田 雅弘(豊橋市民病院 消化器内科), 北畠 秀介(豊橋市民病院 消化器内科), 山本 英子(豊橋市民病院 消化器内科), 樋口 俊哉(豊橋市民病院 消化器内科), 田中 浩敬(豊橋市民病院 消化器内科), 田中 卓(豊橋市民病院 消化器内科), 廣瀬 崇(豊橋市民病院 消化器内科), 芳川 昌功(豊橋市民病院 消化器内科), 岡村 正造(豊橋市民病院 消化器内科)
抄録 【症例】60歳代男性【主訴】黄疸【生活歴】喫煙20本/日×40年、飲酒歴ビール500mL×2/日【既往歴】特記すべきことなし【現病歴】平成18年11月、腹痛、黄疸で当科紹介。血液生化学検査で閉塞性黄疸と胆道系酵素の上昇、腹部造影CTで胆管拡張と膵腫大を認め、精査加療目的で入院となった。腹部超音波検査で膵はソーセージ様に腫大し、血清IgG4は184mg/dLと上昇していた。内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査(ERCP)では、分枝膵管に異常を認めなかったが、主膵管は頭部から尾部にかけてびまん性の狭細像を認め、自己免疫性膵炎(AIP)と診断した。胆管は下部胆管から三管合流部にかけて,膵腫大による平滑な圧排狭窄を認めた。胆道ドレナージチューブを挿入し、プレドニゾロン(PSL)30mg/日より治療開始した。PSL治療に対する反応は良好で、膵腫大、胆管狭窄は著明に改善。減黄も良好で、チューブ抜去して退院となった。外来でPSL tapering を進め、維持量5mg として継続通院していた。平成19年1月、上腹部痛、黄疸再燃。腹部CTで肝内胆管拡張を認め再入院となった。ERCPでは狭細型主膵管像とともに、肝内胆管の枯れ枝状の狭窄がみられ、胆管は初発時と異なり硬化性胆管炎像となっていた。AIPの再燃と診断し、PSL40mgへ増量。黄疸は速やかに改善した。外来にてPSLのtaperingを続け、再び5mgで維持。その後は再燃を認めていない。しかし、平成19年12月の腹部CTで膵石の出現を認めた。無症状であるが、現在まで膵石の進行とともに膵萎縮も認めている。【まとめ】AIPはステロイド治療が有効であり、比較的速やかに初発症状は軽快し、基本的に悪性疾患の合併もなく予後良好な疾患とされている。しかし、その長期経過については不明な点も多く、症状再燃や長期的な膵内外分泌機能の面から治療の必要性を論じられることもあり、ステロイド治療の導入、維持療法についても明確なコンセンサスはない.一方画像上膵萎縮や膵石発生についての報告も散見され、再燃例は非再燃例に比べ膵石形成が多いと言われている。今回、我々は経過中に膵石、膵萎縮を認めたAIP再燃例の一例を経験したので報告する。
索引用語 自己免疫性膵炎, 膵石