セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 075:

正中弓状靱帯症候群を伴って後上膵十二指腸動脈瘤破裂をきたし動脈塞栓術で治癒した1例

演者 黒部 拓也(岐阜市民病院 第二内科)
共同演者 高木 結衣(岐阜市民病院 第二内科), 加藤 潤一(岐阜市民病院 第二内科), 入谷 壮一(岐阜市民病院 第二内科), 渡部 直樹(岐阜市民病院 第二内科), 中島 賢憲(岐阜市民病院 第二内科), 鈴木 祐介(岐阜市民病院 第二内科), 小木曽 富生(岐阜市民病院 第二内科), 川出 尚史(岐阜市民病院 第二内科), 林 秀樹(岐阜市民病院 第二内科), 向井 強(岐阜市民病院 第二内科), 杉山 昭彦(岐阜市民病院 第二内科), 西垣 洋一(岐阜市民病院 第二内科), 加藤 則廣(岐阜市民病院 第二内科), 冨田 栄一(岐阜市民病院 第二内科)
抄録 患者は64歳男性。主訴は上腹部痛と黒色便。平成24年2月14日の昼食後に上腹部痛が出現し、増悪するため当科を受診。意識清明で血圧は172/136mmHgとやや高値であった。血液検査ではWBC 9,960/μLと軽度上昇がみられた。腹部造影CT検査で右前腎傍腔に巨大な血腫がみられた。併せて血腫内に活動性出血を示唆する所見がみられたために緊急動脈造影検査を施行した。腹腔動脈造影では起始部で閉塞機転がみられたたことより上腸間膜動脈造影を施行。後上膵十二指腸動脈瘤からの出血と診断し、コイルによる動脈塞栓術を施行した。術後は絶食とした。またHb 8.8g/dLと貧血を認めたためMAP2単位の輸血を施行した。第3病日の腹部造影CTで胸腹水を認めたが、活動性出血はみられなかった。さらに2単位のMAPを輸血を追加した。第8病日の腹部造影CTでも変化はみられなかった。塞栓術後に発熱がしばらく続いていたが解熱し、Hbも11.1g/dLと改善した。第14病日の上部消化管内視鏡検査では十二指腸下行脚に管外圧迫による軽度の狭窄所見が観察されたが通過障害はなく、また軽度の肝機能検査異常も改善傾向であったため同日より経口摂取を開始した。その後の経過は良好であり第25病日に退院した。後上膵十二指腸動脈瘤の形成および破裂は正中弓状靱帯症候群の関与が推察されたが、自験例のように後上膵十二指腸動脈瘤破裂をきたし動脈塞栓術で治癒した症例は極めて稀であり報告した。
索引用語 後腹膜血腫, 正中弓状靭帯症候群