セッション情報 一般演題

タイトル 068:

腹膜原発漿液性乳頭状腺癌の1例

演者 中嶌 雄高(新潟県立十日町病院外科)
共同演者 福成 博幸(新潟県立十日町病院外科), 染野 泰典(新潟県立十日町病院外科), 高橋 英徳(新潟県立十日町病院外科), 設楽 兼司(新潟県立十日町病院外科), 林 哲二(新潟県立十日町病院外科)
抄録 稀な腹膜原発表在性漿液性乳頭状腺癌の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。症例は71歳女性。右下腹部痛を主訴に当科受診。臍右側に硬い腫瘤を触知し、同部位に圧痛を認めた。血液検査ではWBC10800/μl、CRP10.34mg/dlと炎症反応高値であり、腫瘍マーカーはCEA、CA19-9は正常範囲内、CA125は2020U/mlと上昇していた。CTでは多量の腹水と大網腫瘤像(omental cake)を認め、両側横隔膜は不整に肥厚していた。左腎上極には造影効果を伴う腫瘤を認め、左腎癌が併存していた。GF、CFでは異常を認めなかった。癌性腹膜炎を疑ったが、検査上明らかな消化器腫瘍を認めず、診断的腹腔鏡検査を行った。腹腔内は、混濁した黄色腹水が中等量貯留し、横隔膜と肥厚した大網を中心に粟粒大の白色結節を多数認めた。大網と横隔膜の白色結節を生検した。腹腔鏡検査の所見からも消化器腫瘍は認めず、子宮、卵巣は正常であった。以上から結核性腹膜炎や悪性腹膜中皮腫、表在性漿液性乳頭状腺癌を鑑別に挙げた。クオンティフェロン陰性、腹水・喀痰培養陰性、PCR陰性などから結核性腹膜炎を否定した。病理では腺癌が疑われ、免疫染色から悪性腹膜中皮腫は否定的であったため、腹膜原発の表在性漿液性乳頭状腺癌と診断した。術後からTJ療法を開始し、腹痛は徐々に軽快、腹部腫瘤も縮小した。現在化学療法を継続中である。
索引用語 腹膜原発漿液性乳頭状腺癌, SSPC