セッション情報 一般演題

タイトル 023:

食道がん肝転移に対する肝動注療法の検討

演者 小林 由夏(立川綜合病院 消化器センター 消化器内科)
共同演者 杉谷 想一(立川綜合病院 消化器センター 消化器内科), 上野 亜矢(立川綜合病院 消化器センター 消化器内科), 藤原 真一(立川綜合病院 消化器センター 消化器内科), 大関 康志(立川綜合病院 消化器センター 消化器内科), 飯利 孝雄(立川綜合病院 消化器センター 消化器内科)
抄録 【はじめに】大腸がん、胃がんの肝転移に対しては局所に到達する薬剤の濃度が高まることから、肝動注療法の有効性が報告されている。今回、当院で食道がんの肝転移に対して肝動注療法を行った2例について報告する【症例1】75歳、男性。2008年6月に認められた異時性単発肝転移再発に対して、 8月よりS-1/CDDPにて全身化学療法を行ったが、病変が増大したため12月に肝動注療法を導入した。Weekly 5FU/CDDP療法6ヶ月後、PRの判定で切除も検討したがうつ状態となり、以後はBSCとした。肝転移再発出現2年後に永眠された。【症例2】66歳、女性。2010年食道がん同時性肝転移と診断された。放射線併用化学療法を導入し、原発巣はCRとなったが肝転移巣は増大した。Standard FP治療の継続により腎機能低下を認め、2012年5月に肝動注療法を導入した。WHF療法3ヶ月目、腎機能の悪化はなく腫瘍マーカーのCYFRAは4分の1に低下、腹部CT上もSDにて現在治療を継続中である。【考察】食道がんではリンパ節転移、遠隔転移の混在が多く認められ、平均転移臓器個数は3.3臓器であったという報告もある。肝単独転移再発例は稀であり肝動注療法施行例の報告も少ないことから、未だに治療レジメが定まっていない。本例では症例1は肝単独転移再発、症例2は肝転移が予後規定因子になると判断し、肝動注療法導入を行った。症例1では腫瘍の縮小が得られたが毎週の長時間にわたる化学療法が負担になりその後の治療継続が困難であった。症例2では肝転移はSDであり、腎機能の増悪も見られず一定の効果が得られている。【結語】肝動注療法には全身化学療法に比べて副作用を軽減しながら、肝転移に対する治療効果を維持できる可能性があるため、食道がんであっても肝転移が予後規定因子と考えられる場合には有用である。
索引用語 食道がん, 肝動注療法