セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 053:

大動脈炎症候群を合併した潰瘍性大腸炎の一例

演者 根布屋 悟(済生会)
共同演者 岩永 明人(済生会), 八木 一芳(新潟県立吉田病院 内科), 本間 照(済生会), 本田 博樹(済生会), 木村 成宏(済生会), 堀米 亮子(済生会), 窪田 智之(済生会), 関 慶一(済生会), 石川 達(済生会), 吉田 俊明(済生会), 上村 朝輝(済生会)
抄録 症例は28歳女性、25歳時に左下腹部痛、血性泥状便が10行/日以上となり、近医でCFを受け、潰瘍性大腸炎UCと診断された。病変は直腸と盲腸にスキップしていた。プレドニゾロンPSL20mgで寛解導入されたが、PSLの漸減休薬後に再燃を繰り返した。3回目の再燃時に38℃台の発熱が出現、軽度の左頸部痛、背部痛を伴っていた。直腸およびS状結腸に活動期粘膜を認め、PSL30mgの投与にて解熱した。2ヵ月後PSL5mgまで減量したところ、発熱、左頸部痛、背部痛が再出現。PSL依存性と考えられ、当科に紹介入院した。この時、便通は有形軟便3行/日で粘液の付着があったが、血便や腹痛はなかった。CF所見は、軽度発赤した浮腫状粘膜が直腸からS状結腸まで斑状にみられ、ところどころに膿性白点の付着を伴っている程度であった。腹部症状、CF所見に比して炎症所見が高値(CRP:5.29mg/dl、Fbg:672mg/dl)であったことから、全身検索を行った。橈骨動脈、足背動脈は両側で良好に触知したが、頚動脈拍動は右が優位であった。眼底に異常所見は認められなかった。頸胸部CTにて上行大動脈および左総頚動脈の壁が層状に肥厚しており、大動脈炎症候群と診断した。血管炎の炎症マーカーであるPTX-3とMMP-9は正常範囲内であった。HLA-B52は陽性であった。PSL40mgに増量し症状は改善した。IFX導入の可能性も考えつつ、6MP0.3gを併用しPSLをゆっくり漸減中である。大動脈炎症候群はUCの腸管外合併症として現在までに78例の報告がある。臨床症状と検査や画像所見に乖離がみられた場合には、こうした稀な合併症の存在も考え診療にあたることが大切と思われた。文献的考察を加え報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 大動脈炎症候群