セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 071:

Desmoplastic small round cell tumorの一例

演者 貝梅 紘子(長野赤十字病院 消化器内科)
共同演者 田中 景子(長野赤十字病院 消化器内科), 徳竹 康二郎(長野赤十字病院 消化器内科), 今井 隆二郎(長野赤十字病院 消化器内科), 三枝 久能(長野赤十字病院 消化器内科), 藤沢 亨(長野赤十字病院 消化器内科), 森 宏光(長野赤十字病院 消化器内科), 松田 至晃(長野赤十字病院 消化器内科), 和田 秀一(長野赤十字病院 消化器内科), 清澤 研道(長野赤十字病院 消化器内科), 高橋 俊二(癌研究会有明病院 総合腫瘍科)
抄録 症例は23歳男性で、2012年4月に腹部膨満感と下痢を主訴に前医を受診し、右下腹部腫瘤と腹水を指摘され、当院紹介受診となった。診察上、右下腹部腫瘤を触知し、造影CTで胸膜腫瘤、多量の腹水、左右肝表面・膀胱直腸窩・大綱・結腸間膜などに腫瘤を認め、FDG-PETでは胸膜腫瘤、腹膜腫瘤、骨盤内腫瘤に集積を認めた。精査加療目的に入院となった。腫瘍マーカーはCA125 489.8U/ml、他、CEA,AFP,CA19-9,HCG-β,可溶性IL-2R,Pro-GRPは陰性であった。精巣腫瘍、胎児性腫瘍、lymphoma、虫垂癌、結核、Behcet’s disease、Crohn’s disease等を考えた。
入院後、胸水穿刺、腹水穿刺施行し、細胞診ClassIV、adenocarcinomaが疑われた。上部・下部消化管内視鏡検査施行、上部では病変を認めず、下部は直腸全面に硬い壁外腫瘤があり、深部挿入不可能であった。CTガイド下経皮的胸膜生検、胸腔鏡下胸膜生検を施行するも、確定診断には至らなかった。
癌研究会有明病院へ紹介し、若年男性に生じた広範に拡がる腫瘤であることから、Desmoplastic small round cell tumor(以下DSRCT)を疑った。CTガイド下経皮的胸膜生検凍結標本の遺伝子検査にてEWS22.3/WT1-10.1,EWS8.1/WT1-10.1キメラ遺伝子が陽性であり、DSRCTと確定診断した。
Doxorubicin+ifosfamideによる化学療法を開始した。Grade4の骨髄抑制を認めたが、胸水・腹水は著明に減少した。腫瘤は明らかな縮小を認めなかった。現在3クール目まで終了している。
DSRCTは若年男性にみられる稀で非常に予後不良な疾患であり、腹腔内腫瘤としての発生が多い。免疫組織検査にて上皮系、間葉系、神経系マーカーが共発現する特徴を有し、EWS-WT1キメラ遺伝子陽性となるのが特徴である。若年者における腹部腫瘤や癌性腹膜炎の症例では本症を考慮する必要がある。
索引用語 desmoplastic small round cell tumor, 原発不明肉腫