セッション情報 一般演題

タイトル 042:

人間ドックでの血清アミラーゼ値上昇を契機に診断された,若年発症膵腺房細胞癌の1例

演者 越知 泰英(長野市民病院 消化器内科)
共同演者 長谷部 修(長野市民病院 消化器内科), 原 悦雄(長野市民病院 消化器内科), 関 亜矢子(長野市民病院 消化器内科), 長屋 匡信(長野市民病院 消化器内科), 伊藤 哲也(長野市民病院 消化器内科), 多田井 敏治(長野市民病院 消化器内科), 神保 陽子(長野市民病院 消化器内科), 成本 壮一(長野市民病院 消化器外科), 林 賢(長野市民病院 消化器外科), 関 仁誌(長野市民病院 消化器外科), 大月 聡明(長野市民病院 病理診断科), 保坂 典子(長野市民病院 病理診断科)
抄録 症例は34歳男性、飲酒歴は機会飲酒程度。健診目的に受診した当院人間ドックで,十二指腸潰瘍,WPW症候群と共に血清アミラーゼ値上昇(768IU/L)を指摘された。十二指腸潰瘍に対してはプロトンポンプ阻害薬による治療を受け,WPW症候群に対しては無症状のため経過観察に留められた。血清アミラーゼ値上昇に関しては,膵炎の既往や特別の腹部症状はなく人間ドックでの腹部USで膵は描出不良であった。このため精査目的にMRIを施行したところ,膵頭部に長径30mm大の一部に液体貯留を伴う充実性腫瘤を認め,主膵管は頭部で閉塞し尾側の拡張を伴っていた。CTでは漸増型の造影効果を有する腫瘤として描出され,膵被膜を超える浸潤はみられなかった。ERPでは,膵頭部にカニ爪様の陰影欠損と尾側主膵管の拡張を認め,膵液細胞診は classIIIであった。EUS, IDUSでは,膵頭部に嚢胞様構造を伴う低エコー腫瘤を認め,一部が主膵管内へと進展していた。以上の画像所見より,嚢胞様構造は典型的ではなかったが,主膵管内進展を伴う漸増型の造影効果を有する腫瘤の存在よりIPMN由来浸潤癌を考え,膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織所見では,腫瘤には充実性胞巣を形成しながら密に増生する腫瘍細胞を認め,免疫染色で trypsin, chymotrypsin陽性であったことより膵腺房細胞癌と診断した。腫瘍は主膵管内へ浸潤・進展しており,更に周囲の分枝膵管内にも多数の進展像を伴っていたが,ほとんどは膵内に限局していて pT3, N1, M0の stageIIIであった。
索引用語 膵腺房細胞癌, 若年者