セッション情報 一般演題(初期研修医)

タイトル 26:

Rituximab投与中にHBV再活性化を来たし重症肝炎に至った3例

演者 花山 雅一(愛媛大学 医学部 総合臨床研修センター)
共同演者 小泉 洋平(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学), 徳本 良雄(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学), 越智 裕紀(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学), 廣岡 昌史(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学), 阿部 雅則(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学), 壺内 栄治(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学), 池田 宜央(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学), 日浅 陽一(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学), 恩地 森一(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学)
抄録 Rituximabなど分子標的薬の開発に伴い、宿主免疫が強力に抑制され、HBV既往感染例から発症する“de novo B型肝炎”が報告されている。演者らは悪性リンパ腫に対してRituximab投与したHBV既往感染およびキャリア例でHBV再増殖による重症肝炎を発症した3例を経験したので報告する。【症例】症例1:HBs抗体陽性の59歳男性。H16年より悪性リンパ腫に対して rituximab+VP-16療法6コース目施行中に肝機能増悪を指摘され、HBs抗原陽性、HBV-DNA 上昇がみられた。HBV再活性化に対してラミブジン投与開始したが肝機能は増悪。入院後ステロイドパルス療法を併用し、肝予備能はやや改善したが第66病日で肝性脳症をきたしLOHFと診断。ラミブジン投与継続にもかかわらず肝不全にて死亡した。症例2: 59歳男性。H22年3月より悪性リンパ腫に対してR-CHOPを7クール施行。HBs抗原陰性、HBc抗体陽性であり、5月よりラミブジン投与開始。化学療法終了1年後までHBV-DNAは検出されず内服を中止した。しかしH24年2月にHBV-DNA陽転、5月にHBs抗原陽性、HBV-DNAの上昇がみられ当科初診。直ちにエンテカビル内服開始したが肝機能はALT 2736 U/ml, PT 66%まで増悪。入院後ステロイドパルス療法を併用し肝機能は緩徐に改善した。症例3: 47歳男性。HBe抗原/抗体seroconversion後のHBVキャリア。H16年悪性リンパ腫再発に対してRituximabの治療途中よりラミブジンを継続投与。肝機能に問題なく2クール目を開始したところ、ラミブジン内服中にもかかわらずHBV-DNA量が4.4から8.7 LC/mlに増加、Rituximab投与終了後4.9 LC/mlに低下したが、肝機能増悪し当科に入院。アデホビル併用、ステロイドパルス療法にて肝機能改善せず肝不全にて死亡した。【まとめ】Rituximab 投与後に発症したHBV重症肝炎の3例を経験した。重症例では救命率が低く、治療前のHBc抗体のチェック、陽性例では肝臓専門医のコンサルトが必要である。HBVキャリア例のRituximab治療前核酸アナログ投与、HBV既往感染例の治療後定期的なHBVマーカー検査、およびHBV-DNA陽転直後の核酸アナログ治療導入が救命に必要と考えられる。
索引用語 HBV再活性化, de novo B型肝炎