セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 37:

PPI治療抵抗性の低用量アスピリンあるいはNSAIDs胃・十二指腸潰瘍に対する少量misoprostol追加投与の有効性

演者 河井 裕介(小豆島町立内海病院 内科)
共同演者 石川 茂直(香川県立中央病院 消化器内科), 稲葉 知己(香川県立中央病院 消化器内科), 水川 翔(香川県立中央病院 消化器内科), 高嶋 志保(香川県立中央病院 消化器内科), 泉川 孝一(香川県立中央病院 消化器内科), 田岡 伸朗(香川県立中央病院 総合診療部), 和唐 正樹(香川県立中央病院 消化器内科), 三好 正嗣(香川県立中央病院 消化器内科), 渡邉 精四郎(香川県立中央病院 中央検査部), 河合 公三(香川県立中央病院 消化器内科), 久保 文芳(小豆島町立内海病院 内科)
抄録 【背景と目的】PPIは低用量アスピリンあるいはNSAIDs起因性胃・十二指腸潰瘍に対して、高い潰瘍治癒効果あるいは再発予防効果が示されている.しかしながら、PPI併用にも拘らず難治再発例は少数だが存在し、このような症例に対する標準治療は確立されていない.一方、PG製剤(misoprostol)はPPIと同等に高い潰瘍治癒効果が示されているが、通常量投与では腹痛や下痢の副作用が多く出現することが問題である.そこで、我々はPPI長期併用にも拘らず難治性あるいは再発性の胃・十二指腸潰瘍に対して半量のPG製剤を追加投与し、その有効性と副作用について前向きに検討した.【対象と方法】対象は2009年9月~2012年9月に、低用量アスピリンあるいはNSAIDs潰瘍を発症し、PPIを少なくとも8週以上併用されているにも拘らず活動性潰瘍(H2 stage以上)を内視鏡で確認し得た6例(男性4例、女性2例、平均年齢は74.5歳±4.8歳、胃潰瘍5例、胃・十二指腸潰瘍1例)である.活動性潰瘍を確認後、半量PG製剤を追加し、8週後に内視鏡検査を行い、潰瘍の状態と薬剤の副作用、服薬コンプライアンスを調査した.H.pylori感染の有無はIgG抗体価にて測定した.【結果】使用されていた低用量アスピリン・NSAIDsは、バイアスピリンが4例、ロキソプロフェンが2例であった.併用使用されたPPIは全例ラベプラゾールで、併用期間は中央値38週(16~156週)であった. H.pyloriは全例陰性であったが、胃粘膜高度萎縮を有する例は3例認めた.治療前の潰瘍はA1 stage 1例、A2 stage 1例、H1 stage 3例、H2 stage 1例で、PG製剤追加投与8週後の潰瘍の状況は、全例でS2 stageとなっていた.副作用に関しては、腹痛や下痢などによる服用途中中止例は認めず、服薬コンプライアンスも良好な結果であった.【結論】PPI併用に難治性の低用量アスピリンあるいはNSAIDs起因性胃・十二指腸潰瘍に対し、少量PG製剤追加投与は高い潰瘍治癒効果を有し、副作用も認めなかった.今後日本人におけるPPI抵抗性難治性潰瘍に対する標準治療に関して更なる検討が必要である.
索引用語 胃・十二指腸潰瘍, misoprostol