セッション情報 合同シンポジウム2「肝胆膵疾患診療の進歩」

タイトル S2-06:

造影超音波検査による慢性膵炎病期診断の試み

演者 畔元 信明(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学)
共同演者 熊木 天児(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学), 黒田 太良(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学), 小泉 光仁(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学), 山西 浩文(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学), 池田 宜央(愛媛大学 医学部附属病院 光学医療診療部), 松浦 文三(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学), 日浅 陽一(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学), 恩地 森一(愛媛大学大学院 先端病態制御内科学)
抄録 【背景】慢性膵炎臨床診断基準の項目の1つに特徴的な組織所見が挙げられている。しかし、臨床の現場において膵生検による組織診断は困難で、早期の段階で診断することは困難であった。慢性膵炎の診断基準改定に伴い、早期慢性膵炎の定義が新しく提唱された。また、以前より慢性膵炎により膵線維化が進行すると膵血流量が低下することが報告されている。【目的】ペルフルブタンを使用した膵造影超音波検査により、非侵襲的に慢性膵炎の病期診断が可能となるか検討した。【対象と方法】対象は2010年8月から2012年7月までに当科で慢性膵炎臨床診断基準2009により診断した慢性膵炎群8例、早期慢性膵炎群7例、対照群6例。年齢の中央値はそれぞれ62歳、66歳および59歳であった。ペルフルブタンを静注後、HITACHI社製Preirusを用い、上腸間膜動脈と膵実質の時間輝度曲線(time intensity curve: TIC)から傾きを算出し、その比(上腸間膜動脈/ 膵実質)を対照群、早期慢性膵炎群および慢性膵炎群で比較した。【結果】対照群、早期慢性膵炎群および慢性膵炎群のTIC比の中央値はそれぞれ2.00、4.22および5.41であり、慢性膵炎の病期とTIC比の中央値には相関がみられた(r=0.69、p=0.0005)。また対照群vs. 早期慢性膵炎群、対照群vs. 慢性膵炎群ではTIC比に有意差がみられた。(p=0.0015、p=0.0005)。しかしながら早期慢性膵炎群と慢性膵炎群では有意差はみられなかった。【結語】ペルフルブタンを用いた膵造影超音波検査により非侵襲的に慢性膵炎の病期診断を行え、特に早期慢性膵炎の診断が非侵襲的に可能となる可能性が示唆された。
索引用語 慢性膵炎, 造影超音波