セッション情報 合同シンポジウム2「肝胆膵疾患診療の進歩」

タイトル S2-02:

肝細胞癌診療におけるFDG PET-CTの活用

演者 平岡 淳(愛媛県立中央病院 消化器内科)
共同演者 清水 祐宏(愛媛県立中央病院 消化器内科), 山子 泰加(愛媛県立中央病院 消化器内科), 白石 明子(愛媛県立中央病院 消化器内科), 今井 祐輔(愛媛県立中央病院 消化器内科), 宇都宮 大貴(愛媛県立中央病院 消化器内科), 達川 はるか(愛媛県立中央病院 消化器内科), 谷平 哲哉(愛媛県立中央病院 消化器内科), 宮田 英樹(愛媛県立中央病院 消化器内科), 二宮 朋之(愛媛県立中央病院 消化器内科), 道堯 浩二郎(愛媛県立中央病院 消化器内科)
抄録 【背景・目的】PET/CTはがん検診に有用だが、肝細胞癌(HCC)診療ガイドラインではPET/CTはHCCの肝外転移検索においてのみ有用とされる(GradeB)。我々はPET/CTにおいてFDG集積の程度はHCCの組織学的悪性度・早期再発に関連することを報告してきた(Exp Ther Med 2010)。初発HCCにおけるPET/CTの臨床的有用性をレトロスペクティブに検討する。【対象・方法】2006年から2011年の間当院にて診断加療された初発HCC630例。PET/CT検査を施行したのは311例、そのうちミラノクライテリア(MC)内で根治的治療(手術またはラジオ波治療)を施行したのは158例。検討1:PET施行全例における同時性重複癌の頻度・内容を検討。検討2:根治術を施行したMC内のPET施行例における臨床像を検討。PET/CT施行症例は、全例糖尿病はコントロールできており検査時の空腹時血糖値が150mg/dL未満であった。重複癌はHCC診断1年以内のものとし、HCCと背景肝のFDG集積の比(R-SUV)を算出して臨床データと比較検討を行った。【結果】PET/CT施行311症例(男:女=228:83、TNM分類:I:II:II:IV=62:136:74:39)で重複癌が37例(11.9%)にみられ、うちPET/CTで腫瘍が疑われたものは24例(7.7%:28腫瘍、大腸癌8例、肺癌5例、胃癌3例、甲状腺癌3例等)。重複癌にFDG集積がなかった13例中2例はPET検査前に重複癌治療をされており、他11例中5例で早期胃癌、2例で大腸腺腫内癌が内視鏡的に指摘された。MC内の根治術施行症例においてMC逸脱の危険因子は、Cox hazard単変量解析で、腫瘍径2cm≦(HR4.30、P=0.019)、R-SUV 1.5≦(HR3.12、P=0.006)が有意な因子として残ったが、多変量解析ではR-SUV 1.5≦のみが最終的に有意因子となった(HR2.37、P=0.045)。R-SUV1.5≦の症例は1.5>の症例と比べて1年、3年後のMC逸脱再発率が高値であった(24.2%、52.1%vs.4.8%、20.2%、P<0.01)。【結語】HCCにおいて同時性重複癌は決して稀ではなく、PET/CTは全身の一括術前スクリーニングが可能であり、また腫瘍マーカーとは別の悪性度評価が可能でR-SUV高値例では早期にMC逸脱をする危険性を考えて肝移植などの治療も念頭におく必要がある。
索引用語 肝癌, PET/CT