セッション情報 一般演題

タイトル 11:

膵神経内分泌癌(P-NEC)にCBDCA+ETOが奏功した1例

演者 上杉 和寛(四国がんセンター)
共同演者 松本 俊彦(四国がんセンター), 西出 憲史(四国がんセンター), 梶原 猛史(四国がんセンター), 浅木 彰則(四国がんセンター), 仁科 智裕(四国がんセンター), 堀 伸一郎(四国がんセンター), 灘野 成人(四国がんセンター), 井口 東郎(四国がんセンター)
抄録  症例は64歳女性、食欲不振を主訴に近医を受診、画像検査より癌性腹膜炎、リンパ節転移、骨転移がみられ、精査加療目的に当科に紹介となった。当院で施行した造影PET-CTでは膵体部から左後腹膜を主座とするFDGの集積、及び中心部に壊死性変化を伴った径11cmの腫瘤性病変を認め、腫瘤内を腹腔動脈、脾動脈及び左腎動脈が閉塞なく走行しており、この他に腹膜、骨及びリンパ節に転移性病変がみられた。この画像所見より膵原発の悪性腫瘍が考えられたが、動脈浸潤がないことより通常型膵癌とは異なることが示唆された。組織診断を目的に右腰背部の皮下腫瘤の生検を行い、HE染色で小型類円形細胞の充実性増勢を認め、また免疫染色ではchromograninA(-)、 synaptophysin(+)、vimentin(-)、MIB-1 標識率約90%で、膵原発の小細胞癌(P-NEC)と診断された。治療はNCCNのガイドラインに準じて肺小細胞癌と同様の化学療法(CBDCA+ETO、3週毎)を行った。現在までに3クールが終了したが、血液検査ではNSE値の著明な低下(424 ng/ml→32.4 ng/ml)を始めとした諸検査値の改善がみられ、一方、造影PET-CTでは膵原発腫瘤及びリンパ節、腹膜、骨といった全ての転移性病変でサイズの縮小ならびにSUVmaxの低下を認め、RECIST上PRと判定された。化学療法に伴う有害事象として、1投目はGrade 2の白血球減少及び貧血ならびにGrade4の好中球及び血小板減少を認め、G-CSF製剤と血小板輸血で対処した。2投目は80%減量で実施したが、やはり、Grade3の白血球及び好中球減少を認めG-CSF製剤を必要としたため、3投目は60%減量で実施したところ骨髄抑制を認めなかった。
P-NECは進行が速く、ホルモン症状を呈することが少ないために、診断時には遠隔転移を有する進行癌で見つかることがほとんどである。今回、我々は高度進行状態のP-NECに対してCBDCA+ETOによる化学療法を行い、劇的に改善した症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 膵神経内分泌癌, 化学療法