セッション情報 | 一般演題(後期研修医) |
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タイトル | 05:慢性膵炎の経過中に膵石の乳頭部嵌頓による閉塞性黄疸・膵炎を来たした2症例 |
演者 | 大浦 杏子(KKR高松病院 消化器内科) |
共同演者 | 前田 剛(KKR高松病院 消化器内科), 前田 瑛美子(KKR高松病院 消化器内科), 尾立 磨琴(KKR高松病院 消化器内科), 森田 翼(KKR高松病院 消化器内科), 厚井 文一(KKR高松病院 消化器内科) |
抄録 | 【症例1】66歳男性。1時間前より増強する刺し込むような心窩部痛のため救急搬送。血液生化学検査ではWBC9950/μL, T-Bil2.00mg/dL, AST146U/L, ALT109U/L, GGTP187U/L, ALP398U/L, P-AMY1360mg/dL, CRP0.27mg/dLであった。 CTで膵管胆管合流部に5mm大の石灰化影があり、胆管・膵管の拡張と膵萎縮および膵石が散見され、膵周囲の脂肪織の濃度上昇を認めた。ERCPを施行すると、乳頭開口部に白色結石が嵌頓しており、抗血小板薬内服中であったため、造影チューブで押し込み、嵌頓を解除した。結石は総胆管ではなく主膵管の方へ移動していたため、膵管ステントを留置して終了した。術後速やかに腹部症状および検査成績は改善、第14病日のCTでは主膵管内に押し込まれた結石は自然排石しており、3か月後に膵管ステントを抜去したが、以後悪化は認めていない。 【症例2】26歳男性。小学生の頃より特発性慢性膵炎による急性増悪を繰り返しており、3日前から続く右季肋部痛のため、当科受診。血液生化学検査ではWBC7720/μL, T-Bil4.33mg/dL, AST137U/L, ALT65U/L, GGTP140U/L, ALP414U/L, P-AMY774mg/dL, CRP2.84mg/dL であった。CTでは膵石を散見し、乳頭部付近に1cm大の結石があり、胆管,膵管の拡張を伴っていた。ERCPを施行すると、乳頭部に白色結石が嵌頓しており、同部をプレカットすると自然排石されたため、乳頭括約筋切開を加え、結石を回収して終了した。成分分析では98%炭酸カルシウムであり、膵石と考えられた。術後速やかに腹部症状は改善し、第7病日には検査成績は正常化した。第17病日には膵頭部主膵管内に残存した膵石に対し、体外衝撃波破砕術を施行し、排石し得た。 【考察】しばしば胆石が乳頭部に嵌頓した症例は経験するが、膵石が膵管胆管合流部に嵌頓し胆管炎・膵炎を起こす例は稀である。膵石の乳頭部嵌頓による閉塞性黄疸・膵炎に対し、内視鏡治療が有効であった2症例を経験したので、若干の文献的考察を加えながら報告する。 |
索引用語 | 膵石, 閉塞性黄疸 |