セッション情報 一般演題(初期研修医)

タイトル 56:

播種性血管内凝固症候群を合併し緊急手術にて救命し得た急性劇症型潰瘍性大腸炎の一例

演者 井上 薪(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科)
共同演者 高松 正宏(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 村岡 朋美(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 鈴木 美香(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 北岡 真由子(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 齋藤 純子(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 近森 正康(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 富田 秀春(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 市川 博源(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 吉本 香里(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 岡田 光生(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 青野 礼(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 栄枝 弘司(社会医療法人近森会 近森病院 消化器内科), 辻井 茂宏(社会医療法人近森会 近森病院 外科), 八木 健(社会医療法人近森会 近森病院 外科)
抄録 症例は69歳男性。2012年4月19日大腸内視鏡検査にて下部直腸に炎症を認めていた。同年6月29日下痢下血を認めたため、内視鏡を再検したところ、直腸からS状結腸まで連続性に炎症所見を認めた。潰瘍性大腸炎(UC)と診断し、入院の上5-ASA製剤内服を開始し、7月10日軽快退院した。7月14日より腹痛、下痢、血便を認めたため当院を受診した。潰瘍性大腸炎の再燃と考え絶食としたが、症状は増悪し、1日10回以上の顕血便、発熱、貧血などから重症と考え、7月17日よりPSL 60mg/dayの静注療法を開始した。また、同時に血小板減少を認め、播種性血管内凝固症候群(DIC)疑診と考えメシル酸ナファモスタットの投与も開始した。7月19日腹部症状は改善せず、更に血小板は減少しDICスコア9点となりDICと診断した。腹部CTにては全大腸の壁肥厚・炎症像を認めたが、中毒性巨大結腸や穿孔の所見はなかった。しかし急激な症状増悪とDICの悪化から、このまま内科的治療を続けても更に状態が悪化することが危惧されたため、外科医と相談の上、7月22日大腸亜全摘、回腸人工肛門造設術を施行した。術後はDICも改善し、経過良好にて8月18日退院した。現在外来にて経過観察中である。DICを合併した潰瘍性大腸炎の報告は比較的少ないが、致死率は極めて高い。しかしDICを理由に手術適応となった場合は救命率は高く、重症のUCではDICの合併がみられた場合、早期に外科的治療を考慮する必要があると思われた。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 播種性血管内凝固症候群