セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 02:

総胆管結石性胆管炎に感染性肝嚢胞、門脈血栓を合併した1例

演者 中山 瑞(高知赤十字病院 内科)
共同演者 阿部 菜海(高知赤十字病院 内科), 川田 愛(高知赤十字病院 内科), 内多 訓久(高知赤十字病院 内科), 岡崎 三千代(高知赤十字病院 内科), 岩村 伸一(高知赤十字病院 内科), 大黒 隆司(高知赤十字病院 健診部)
抄録 症例は78才、女性。4日前からの腹痛、背部痛を主訴に当院救急外来を受診した。39.6℃の発熱と右上腹部に圧痛を認め、血液検査にて白血球とCRPの上昇、肝胆道系酵素の上昇、総ビリルビン上昇、腹部単純CTにて胆嚢結石、総胆管結石を認めたため、総胆管結石性胆管炎と診断した。血小板減少、腎機能障害を認め、DICを併発していた。入院時より抗菌薬投与を開始し、第2病日にERCPを行い総胆管結石採石術を施行し、DICは早期に離脱した。しかし第10病日より再度高熱がみられ、腹部超音波検査および造影CTにて感染性肝嚢胞、門脈左枝血栓が認められたため、第13病日に経皮的肝嚢胞ドレナージを施行した。入院時血液培養と肝嚢胞排液よりE.coliが検出された。嚢胞ドレナージ後、早期に炎症反応は低下した。門脈血栓に対しては第24病日の造影CTにて血栓部の再開通が認められなかったため、ダナパロイドナトリウム投与による抗凝固療法を開始した。以後、門脈左枝の再開通は認められなかったが、血栓の進行はみられなかった。胆管炎に起因する門脈血栓は感染制御により自然溶解するという報告例があるが、可能な限り早期に抗凝固療法を行うべきという報告が多い。本症例では感染制御のみでは不十分であり、ダナパロイドを用いた抗凝固療法を行ったが、門脈再開通は得られなかった。血栓の進展予防を目的としてワルファリンを継続し経過観察を行った。感染性肝嚢胞、門脈血栓症ともに比較的まれな疾患であり、今回、急性胆管炎を契機に感染性肝嚢胞と門脈血栓症を併発した1例を経験したため、報告する。
索引用語 感染性肝嚢胞, 門脈血栓症