セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 61:

大腸癌イレウスに対する術前ステント留置の有効性の検討

演者 徳田 和憲(愛媛県立中央病院 外科)
共同演者 吉山 広嗣(愛媛県立中央病院 外科), 古手川 洋志(愛媛県立中央病院 外科), 發知 将規(愛媛県立中央病院 外科), 河崎 秀樹(愛媛県立中央病院 外科)
抄録 はじめに)大腸癌イレウスの治療は減圧処置後に根治手術を行うことが有効とされ、従来はイレウスチューブ挿入(経口または経肛門的)や緊急人工肛門造設術がまず施行されてきたが、減圧不良など多くの問題があり、決して満足できる治療方針とはいえない。今回、QOLの向上を目指し、大腸癌イレウスに対してステント留置後に待機的手術を行ったので、その短期成績について報告する。対象・目的)2012年4月から8月に大腸癌イレウスに対して大腸ステント留置後に大腸癌手術を施行した4例を対象とした。年齢、性別、部位、術式、深達度、ステージ、ステント留置期間、術前栄養管理、手術時間、出血量、術後合併症、術後在院日数、ステント留置状態について検討した。結果)年齢64-84歳、男3例、女1例。部位はD2例、S1例、Rs1例、術式は全例で腹腔鏡手術(1例は癒着のため開腹移行)。深達度はSS2例、SE1例、SI1例、ステージはII2例、IIIa1例、IV1例。ステント留置期間は10-53日、術前栄養管理は全例で低残差食以上の経口摂取が可能であった(1例は手術までの間一旦退院)。手術時間は154-305分、出血量は0-720ml。術後合併症は肺炎1例、急性前立腺炎1例。術後在院日数は12-32日。ステントは全例で良好な部位に留置されていたが、1例は術中所見でステントが大腸壁に食い込み、一部大腸壁外に露出していた。まとめ)大腸癌イレウスに対する大腸ステント留置後の手術短期成績は良好であった。大腸ステントは、イレウスチューブ挿入や人工肛門造設術といった患者への侵襲、精神的負担を軽減してQOLを向上させる可能性があり、有効な治療の選択肢となり得る。今後、大腸ステントの保険収載にて全国的な普及が期待されるが、今回認めたステントの壁外露出のようにステントによる大腸穿孔も報告されており、腫瘍の局在や状況にあわせたステント留置の安全性の確立については今後の課題である。
索引用語 大腸ステント, 大腸癌イレウス