セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 42:

腸重積で発見された横行結腸脱分化脂肪肉腫と横行結腸癌の合併例

演者 上口 芙紗子(JA徳島厚生連 阿南共栄病院 消化器病センター)
共同演者 藤本 美幸(JA徳島厚生連 阿南共栄病院 消化器病センター), 安藤 道夫(JA徳島厚生連 阿南共栄病院 消化器病センター), 丸橋 朋子(JA徳島厚生連 阿南共栄病院 消化器病センター), 鈴江 愛(JA徳島厚生連 阿南共栄病院 消化器病センター), 鷹村 和人(JA徳島厚生連 阿南共栄病院 消化器病センター), 答島 章公(JA徳島厚生連 阿南共栄病院 消化器病センター), 滝下 誠(JA徳島厚生連 阿南共栄病院 消化器病センター), 徳元 善昭(JA徳島厚生連 阿南共栄病院 消化器病センター), 上原 久典(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 環境病理学), 廣瀬 隆則(徳島県立中央病院 病理診断科・臨床検査科)
抄録 患者は80歳代男性。20XX年5月中旬に下腿浮腫があり近医を受診し腹部腫瘤を指摘され精査加療目的に当院へ紹介された。来院時に下腹部正中に手拳大の硬い腹部腫瘤を触知した。血液検査でHb 6.3g/dlの正球性正色素性貧血と低アルブミン血症を認めた。腹部単純CT検査で下垂した横行結腸に直径9cm大の表面が凹凸した腫瘤を先進部とする重積を認めた。注腸X線検査で横行結腸にCTと同様の所見を認め、下部消化管内視鏡検査では横行結腸に表面が壊死物質で覆われた9cmの腫瘍が重積の先進部となり、その近傍に約3cmの1型腫瘍もみられた。生検では小さな1型腫瘍はadenocarcinomaであったが、先進部の大きな腫瘍からは壊死組織のみであった。X線検査および内視鏡検査時に整復を試みたが不可能であった。同年6月下旬に右半結腸切除術を施行した。横行結腸に10cmの表面に壊死を伴う粘膜下腫瘍が先進部となり腸重積を起こし、さらにその肛門側にみられた1型大腸癌が重積した腸管の折り返し部分となっていた。術中に徒手整復を試みたが不可能であり、重積したまま切除した。先進部の腫瘍の大部分は紡錘形細胞が束状配列を示し、核分裂像が多く、c-kit(-)、CD34(-)、α-SMA(-)、 s-100(-)、desmin(+)であり平滑筋肉腫に似た像を認めたが、漿膜下層や粘膜下層でlipoblastを伴う脂肪性腫瘍がみられ、脱分化脂肪肉腫が筋原性に異分化したものと診断した。その肛門側の腫瘍はadenocarcinoma muc>tub1、ss、INFβ、ly2、v1であった。
本例では巨大な脱分化脂肪肉腫が先進部となり腸重積を発症し、更にその肛門側近隣にも1型大腸癌がみられた。脱分化脂肪肉腫は高分化脂肪肉腫から非脂肪性肉腫への移行を示す比較的稀な悪性脂肪性腫瘍である。後腹膜に好発し、5-10%で筋原性ないし骨軟骨への異分化を示すと報告されている。本例のように大腸から発生することは非常に稀であり、大腸癌を合併した報告はない。
索引用語 脱分化脂肪肉腫, 腸重積