セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 47:

Docetaxiel+Cisplatin+S-1+Trastuzumab(DCS-T)療法が著効したHER2陽性切除不能胃癌の2症例

演者 岡田 泰行(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学)
共同演者 矢野 弘美(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 影本 開三(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 宮本 佳彦(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 三井 康裕(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 高岡 遠(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 高場 梓(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 郷司 敬洋(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 北村 晋志(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 佐藤 桃子(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 岡本 耕一(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 宮本 弘志(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 六車 直樹(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 岡久 稔也(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学), 高山 哲治(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学)
抄録 我々はこれまで、切除不能進行胃癌を対象にDocetaxel+Cisplatin+S-1(DCS)療法の第1相及び2相試験を行い、高い有効性を示すことを報告した(Cancer Chemo Pharmacol, 2011)。一方、最近 HER2陽性胃癌に対するTrastuzumab(Tmab)の有効性が報告された。そこで今回我々は、HER2陽性切除不能進行胃癌を対象にDCS+Tmab(DCS-T)療法を行ったところ、著効した2例を経験したので報告する。【症例1】60歳代、男性。食欲不振を主訴に当科受診。上部消化管内視鏡検査(EGD)にて胃角部前壁に3型の腫瘤を認め、生検により胃癌(tub2, HER2染色3+)と診断した。CT検査にて多発肝転移及びリンパ節転移を認め、cStageIV (cT3N3M1)と診断し、十分なICを得た上でDCS-T併用化学療法(S-1 80mg/m2, d1-14, docetaxel 50mg/m2, d8, cisplatin 60mg/m2, d8, Tmab 6mg/kg, d8)を施行した。1コース終了後にPR inとなり、6コース終了した現在もPRを維持している。【症例2】50歳代、男性。心窩部痛を主訴に当科受診。EGDでは胃体下部後壁に3型の腫瘤を認め、生検で胃癌(tub2>por1, HER2染色3+)と診断した。CT検査にて多発肝転移及びリンパ節転移を認めcStageIV(cT3N3M1)と診断し、十分なICを得た後にDCS-T療法を施行した。1コース終了後にPR inとなり、7コース終了した現在、肝転移はCT上消失した。2コース目でGrade3の発熱性好中球減少症を認めたがG-CSF、抗生剤投与にてすみやかに軽快した。【考察】DCS-Tの腫瘍縮小率はいずれも80%以上であり、極めて高い抗腫瘍効果が得られた。DCS-Tの副作用は好中球減少であったが、認容可能であると考えられた。今後、臨床試験によりDCSに対するTmabの上乗せ効果を立証する必要がある。また、本療法は縮小率が極めて高いことから、今後胃癌のconversion therapyにも繋がる可能性がある。
索引用語 胃, 癌