セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 55:壊疽性膿皮症を合併した潰瘍性大腸炎の1例 |
演者 | 泉川 孝一(香川県立中央病院 消化器内科) |
共同演者 | 稲葉 知己(香川県立中央病院 消化器内科), 水川 翔(香川県立中央病院 消化器内科), 高嶋 志保(香川県立中央病院 消化器内科), 石川 茂直(香川県立中央病院 消化器内科), 田岡 伸朗(香川県立中央病院 総合診療科), 馬場 伸介(香川県立中央病院 肝臓内科), 三好 正嗣(香川県立中央病院 消化器内科), 和唐 正樹(香川県立中央病院 消化器内科), 妹尾 知典(香川県立中央病院 肝臓内科), 永野 拓也(香川県立中央病院 肝臓内科), 高口 浩一(香川県立中央病院 肝臓内科), 河合 公三(香川県立中央病院 消化器内科), 井上 雅子(香川県立中央病院 皮膚科), 須崎 康敬(香川県立中央病院 皮膚科) |
抄録 | 壊疽性膿皮症(PG)は、炎症性腸疾患の腸管外合併症である皮膚病変の一つとして知られているが、潰瘍性大腸炎(UC)と診断された中で、PGがみられる割合は0.26-0.35%と比較的少ない。今回、我々は、増悪期に一致してPGを合併したUCの1例を経験したので報告する。症例は、67歳、女性。2009年下血にて発症し、全結腸型UCと診断された。ステロイド依存性の難治性UCであり、血球除去療法、タクロリムスでは寛解導入が困難であり、2010年11月からインフリキシマブ(IFX)投与を開始し、寛解導入・維持が得られていた。2011年8月より下血が出現し、二次無効としてIFXを倍量投与(10mg/kg)し、一旦は血便が消失し症状も改善したが、1か月後、便回数が増加し再び血便もあり、さらに左手関節痛が出現した(day1)。その後、左手第1指基節部背側に緊満性の水疱形成があり、左手関節から手背にかけて腫脹、熱感、疼痛がみられた(day5)。当科受診し、皮膚科紹介にて皮膚所見より蜂窩織炎を第一に考え、入院となった(day8)。左手の水疱部位より膿汁の排液があり、抗生剤投与を行ったが皮膚病変の改善はみられず、day11には潰瘍は深く、腱鞘が露出していた。膿汁や潰瘍局所の培養検査を繰り返し行ったが、原因菌は検出されず、皮膚生検病理組織検査においても病原体は認めず、好中球主体の炎症細胞浸潤が認められた。病巣の拡がりが顕著であり、潰瘍性大腸炎増悪に伴うPGとして、day15よりステロイド(PSL60mg)投与を開始した。PSL投与にて皮膚の発赤・熱感・腫脹は改善し、肉芽形成も認められるようになり、PSL漸減後も増悪なく植皮なしで良好に経過した。UCに関してもPSL投与にて症状の改善はみられたが、ステロイド長期投与による骨粗鬆症のため内科的な加療の継続は困難と判断し、day45に腹腔鏡下全結腸切除術を施行した。術後8か月経過し、PSLは中止しているが、PGは完全に治癒・瘢痕化しており再燃は認めていない。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, 壊疽性膿皮症 |