セッション情報 シンポジウム2(消化器病学会・肝臓学会合同)

C型肝炎治療の最前線

タイトル 肝S2-9:

Genotype 1b型C型慢性肝炎に対するTelaprevirとペグインターフェロン-リバビリン3剤併用療法におけるテラプレビル用量別の早期ウイルス動態

演者 瀬崎 ひとみ(虎の門病院・肝臓センター)
共同演者 鈴木 文孝(虎の門病院・肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓センター)
抄録 【目的】NS3-4Aプロテアーゼ阻害剤であるテラプレビル(TVR)が使用可能となり、genotype 1型の難治症例でも高率にウイルス排除可能となるものと期待される。一方で、その副作用は従来の治療法よりも強くなることが予想される。そのため当院では、女性、65歳以上の高齢者、開始時ヘモグロビン(Hb)値が<13g/dLと低い症例はTVRを1500mg/日で投与開始するという試みを行っている。そこで今回は、TVR開始量を2250mg/日とした群と1500mg/日とした群の早期の治療効果を比較検討することを目的とした。【方法】対象は、当院においてgenotype 1b型、高ウイルス量のC型慢性肝炎症例に対しTVRとペグインターフェロン(PEG-IFN)-リバビリン(RBV) 3剤併用療法を開始後12週間経過した症例93例。TVR2250mg群77例、1500mg群16例の12週目までのHCV RNA陰性化率を比較した。【成績】1)TVR2250mg群と1500mg群で年齢は中央値55歳(23-65歳)、56歳(36-69歳)と差を認めず、男性45例(58%)、5例(31%)、開始時RBV/体重比が11.5(7.2-15.8)mg/kg、11.0(6.2-14.0)mg/kgと1500mg群は男性が少なく、開始時のRBV量が少ない傾向にあったが有意差には至らなかった。開始時Hb値は14.3(12.5-16.9)g/dL、13.8(11.7-16.8)g/dLと1500mg群で有意に低かった(P=0.043)。2)2250mg群と1500mg群のHCV RNA陰性化率はそれぞれ、1週目1例(1.3%)、0例(0%)、2週目23例(30%)、6例(38%)、4週目62例(82%)、13例(87%)、8週目69例(95%)、13例(93%)、12週目62例(89%)、13例(100%)といずれの時期も両群に有意差は認めなかった。【結論】TVRを1500mg/日としても12週目までのウイルス動態に差を認めなかった。最終的な治療効果に対する影響は今後の経過をみる必要があるが、1500mgが有効であれば、さらに多くの症例が治療可能となるものと期待できる。
索引用語 C型慢性肝炎, テラプレビル