セッション情報 |
パネルディスカッション19(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
消化器臓器移植後の免疫抑制療法の新展開
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タイトル |
肝PD19-1指:肝移植後C型肝炎治療による拒絶反応の誘発と免疫抑制療法の重要性
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演者 |
上田 佳秀(京都大・消化器内科) |
共同演者 |
海道 利実(京都大・肝胆膵・移植外科), 上本 伸二(京都大・肝胆膵・移植外科) |
抄録 |
【目的】 肝移植後C型肝炎再発に対するインターフェロン治療により拒絶反応が誘発されるリスクが問題とされてきたが、その実態については不明な点が多い。今回、肝移植後C型肝炎に対するインターフェロン治療例における、拒絶反応の実態と危険因子を解析し、インターフェロン治療中の免疫抑制療法の重要性を明らかにすることを目的とした。【方法】 1999年3月から2011年6月までに当院にて抗ウイルス治療を行った肝移植後C型肝炎症例125例について、拒絶反応発生の実態とその危険因子、特に免疫抑制療法との関連について解析を行った。【成績】インターフェロン治療中または治療終了直後に、慢性拒絶を7例、de novo 自己免疫性肝炎を4例に認めた。慢性拒絶は治療開始後中央値9ヶ月(1-16ヶ月)で診断され、治療抵抗性で7例中6例が死亡した。7例中5例でインターフェロン治療中の免疫抑制剤減量があり、発症の一因となっていると考えられた。そのため、現在はインターフェロン治療中には免疫抑制療法を強化する方針へと変更し、その後は慢性拒絶の発症は認めておらず、以前と同等以上の抗ウイルス効果を認めている。de novo 自己免疫性肝炎は治療開始後中央値16ヶ月(6-43ヶ月)で診断された。2例はインターフェロン治療終了後に発症し、ステロイド治療にて改善した。他の2例はステロイド抵抗性であり、1例は肝硬変へと進行した。一方、急性細胞性拒絶反応や急性抗体関連拒絶反応は認めなかった。治療開始時に病理所見で遅発性細胞性拒絶反応の合併を疑う所見を認めた13例においては、12週までに血中HCV-RNAが陰性化した症例が8例(62%)あり、その他の症例の28%と比較して、初期のウイルス学的効果が高かった。【結語】 肝移植後C型肝炎に対するインターフェロン治療によって、慢性拒絶とde novo 自己免疫性肝炎を誘発する可能性が示唆された。インターフェロン中の免疫抑制剤減量が慢性拒絶の危険因子であり、インターフェロン中には免疫抑制療法を強化する必要があると考えられた。 |
索引用語 |
肝移植, 拒絶 |