共同演者 |
川崎 啓祐(松山赤十字病院 胃腸センター), 蔵原 晃一(松山赤十字病院 胃腸センター), 大城 由美(松山赤十字病院 病理), 尾石 義謙(松山赤十字病院 胃腸センター), 河内 修司(松山赤十字病院 胃腸センター), 岡本 康治(松山赤十字病院 胃腸センター), 永田 豊(松山赤十字病院 胃腸センター), 阿部 洋文(松山赤十字病院 胃腸センター), 徳本 真矢(松山赤十字病院 胃腸センター), 渕上 忠彦(松山赤十字病院 胃腸センター) |
抄録 |
症例は52歳女性。2012年2月頃より血便を認め、近医を受診。大腸内視鏡検査でLSTを指摘され当科紹介受診となった。来院時血液検査でCA19-9 170.4 U/mlと高値であり、原因精査のため胸腹部造影CT、上部消化管内視鏡検査、カプセル小腸内視鏡検査を施行したが、明らかな異常は指摘できなかった。注腸造影検査、大腸内視鏡検査ではS状結腸に長径44mm大の周囲大腸粘膜と同色調で顆粒状を呈した平坦な隆起性病変(LST-G)を認め、NBI拡大観察では広島分類でB type、色素拡大観察ではIV型pit patternであった。伸展は良好、側面変形もなく、腺腫もしくは腺腫内粘膜内癌と診断しESDを施行した。病理所見はWell differentiated tubular adenocarcinoma in adenoma, M, ly(-),v(-), pHM0, pVM0であった。ESD後の血液検査でCA19-9 73.9 U/mlと低下傾向を認めたため、CA19-9高値の原因としてCA19-9産生大腸腫瘍を疑い免疫染色を追加したところ、腫瘍細胞はCA19-9陽性でありCA19-9産生早期大腸癌と診断した。CA19-9産生大腸癌は肝転移をきたしやすく予後不良とされている疾患で、本邦報告例は少ない。さらに報告例のほとんどが進行癌であり、本症例のようなCA19-9産生早期大腸癌症例は極めて稀である。今回我々はCA19-9産生早期大腸癌の1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。 |