セッション情報 合同シンポジウム1「炎症性腸疾患治療の新展開」

タイトル S1-02:

当院における活動期潰瘍性大腸炎に対する時間依存性放出メサラジン製剤4g投与例の臨床経過

演者 玉置 敬之(高松赤十字病院)
共同演者 野田 晃世(高松赤十字病院), 上田 祐也(高松赤十字病院), 宮本 由貴子(高松赤十字病院), 野上 明子(高松赤十字病院), 吉岡 正博(高松赤十字病院), 石川 哲朗(高松赤十字病院), 小川 力(高松赤十字病院), 松中 寿浩(高松赤十字病院), 柴峠 光成(高松赤十字病院)
抄録 【背景】時間依存性放出メサラジン製剤は最大用量4gが認可され、軽症~中等症の活動性潰瘍性大腸炎に対する薬物療法の選択肢が拡がった。今回我々は当院における活動期潰瘍性大腸炎に対する時間依存性放出メサラジン製剤4g投与例の臨床経過をレトロスペクティブに検討したので報告する。【方法】当院通院中に潰瘍性大腸炎の初発または再燃に対して時間依存性放出5-ASA製剤4g投与による治療を行った活動期症例(Clinical activity index (CAI)5以上)29例を対象とした。4g投与時に施行していた治療は原則継続とし、5-ASA単独治療15例、5-ASA注腸併用8例、リンデロン座薬2mg併用6例であった。【成績】投薬開始時の重症度は軽症62.1%、中等症34.5%、重症3.4%であり、病型は直腸炎型41%、左側大腸炎型41%、全大腸炎型18%であった。CAIは開始時5.67±2.06であったが、開始後2週間で3.86±1.68と速やかに低下し、8週間では1.3±1.49と有意に低下した(p<0.05)。8週間投与時の有効率は78.6%(緩解58.6%)であった。無効例は14.4%であり、7%が寛解導入の後再燃した。5-ASA単独治療例では有効率86.6%(寛解66.6%)、ペンタサ注腸併用群では有効率62.5%(寛解25%)、リンデロン座薬併用群では有効率66.6%(寛解66.6%)であった。重症度別検討では軽症で有効率77.8%(寛解55.6%)、中等症では有効率80%(寛解60%)であった。病型別検討では直腸炎型で有効率66%(寛解33%)、左側大腸炎型で有効率92%(寛解75%)、全大腸炎型で寛解80%であった。【結論】時間依存性放出5-ASA製剤の4g投与は全ての病型の潰瘍性大腸炎で有効である可能性が示されたが、21.4%に無効・再燃例が認められた。今回の検討では5-ASA注腸およびリンデロン座薬併用における有効性は認められなかった。また、直腸炎型の症例では他の病型に比して4gへの増量効果が得られにくい傾向を認めた。重症度による有効率には有意差を認めなかった。
索引用語 潰瘍性大腸炎, メサラジン