セッション情報 一般演題(初期研修医)

タイトル 03:

出血を合併した胆道結石症の2例

演者 大塚 祥浩(済生会松山病院 内科)
共同演者 山本 健(済生会松山病院 内科), 中口 博允(済生会松山病院 内科), 久米 美沙紀(済生会松山病院 内科), 稲田 暢(済生会松山病院 内科), 梅岡 二美(済生会松山病院 内科), 村上 英広(済生会松山病院 内科), 沖田 俊司(済生会松山病院 内科), 宮岡 弘明(済生会松山病院 内科), 岡田 武志(済生会松山病院 内科)
抄録 症例1は81歳女性.発熱,右季肋部痛を主訴に当科受診.高い炎症反応とともに腹部超音波検査と単純CT検査で胆嚢結石像と胆嚢壁肥厚がみられ胆石性胆嚢炎と診断した.保存的に加療し経過良好であったが,第17病日,肝胆道系酵素の著明な上昇と炎症反応高値を認めた.腹部単純CTで胆嚢内腔背側に不明瞭な高濃度領域が出現し,超音波検査ではモザイク状の高エコー域として描出された.MRI検査ではT1WIでhigh,T2WIでlowの不均一な信号を呈していた.以上の所見から出血性胆嚢炎と診断した.第35病日,当院外科で開腹下胆嚢摘出術を施行.病理組織学的診断は慢性胆嚢炎で腫瘍性病変はみられなかった.抗血栓薬内服はなかったが,炎症による胆嚢壁脆弱化が一因と考えられた.
症例2は77歳男性.複数の抗血小板薬を内服していた.少量の吐血を主訴に当科受診.貧血はなかったが肝胆道系酵素の上昇を認めた.腹部単純CT検査では胆嚢から総胆管にかけて結石像とともに不整な高吸収域がみられ,総胆管は軽度拡張していた.直近の画像と比較したところ急速に高吸収域が増大しており,胆道出血を合併した胆管炎と診断した.胆道の完全閉塞は否定的であったこと,またADLも不良であったことから抗菌薬による保存的加療を開始した.第4病日の造影エコーでは胆道へのシグナルは確認できず,自然止血されたと考えた.しかし第12病日,心窩部痛の訴えとともに肝胆道系酵素,膵酵素の上昇がみられた.単純CT検査では総胆管の高吸収域が増大しており,再出血による胆管炎,膵炎と診断.同日緊急ERCPを行ったところ総胆管内に充満する透亮像を認め,乳頭からの出血を確認した.胆管ステントを留置し,自覚症状・血液検査所見は著明に改善した.
出血を合併した胆道結石症は比較的稀である.今後抗血栓薬内服患者数は増加することが予想され,念頭に置く必要がある.
索引用語 胆道出血, 胆道結石症