セッション情報 | 合同シンポジウム1「炎症性腸疾患治療の新展開」 |
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タイトル | S1-03:潰瘍性大腸炎におけるThymidine Phosphorylase(TP)の発現とTP特異的阻害剤による抗炎症効果に関する検討 |
演者 | 香川 美和子(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学) |
共同演者 | 岡久 稔也(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 宮本 佳彦(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 平尾 章博(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 田中 宏典(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 岡田 泰行(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 三井 康裕(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 田中 貴大(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 高場 梓(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 友成 哲(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 郷司 敬洋(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 高岡 遠(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 北村 晋二(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 矢野 弘美(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 岡本 耕一(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 宮本 弘志(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 六車 直樹(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学), 高山 哲治(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 消化器内科学) |
抄録 | 【背景】Thymidine Phosphorylase(TP)は、炎症組織や癌組織に過剰発現し、血管新生やアポトーシスの抑制に関与する。TPは、潰瘍性大腸炎(UC)の炎症組織においても発現することが報告されているが、その発現と炎症の程度、病的な意義については不明である。また、TP阻害剤のUCに対する抗炎症効果についても検討されていない。【目的】今回我々は、UC患者の炎症組織のTP発現と内視鏡的重症度及び組織学的重症度との関連を検討した。さらに、dextran sulfate sodium(DSS)腸炎マウスモデルにおけるTPの発現を調べ、TP特異的阻害剤6-(2-aminoethyl)amino-5-chlorouracil(AEAC)の経口投与による抗炎症効果について検討した。【方法】UC32症例より採取した184個の生検組織におけるTPの発現と内視鏡的重症度及び組織学的重症度との関連を検討した。C57BL/6J雄性マウスに2%DSSを7日間投与して腸炎を作製し、TPの発現を評価した。DSS腸炎モデルマウスに、AEAC 1mg/kg、AEAC 10mg/kg、SASP(Salazosulfapyridin) 100mg/kgをそれぞれDSSの投与前から連日8回投与し、体重減少率、DAI Score、Histological Damage Score、大腸組織のサイトカイン濃度を測定し、対照群(溶媒投与群)と比較検討した。【結果】UC症例の炎症組織では、間質のマクロファージ、線維芽細胞、リンパ球、血管内皮細胞にTPが発現し、その発現の程度は、内視鏡的重症度及び組織学的重症度に相関した。DSS腸炎マウスの大腸炎組織においてもTPの発現を認めた。AEACの経口投与によって用量依存的に炎症の軽減を認め、大腸組織におけるTNF-α、IL-1β、IL-17、MIP-1、IFN-γ、IL-10の濃度が有意に減少した。AEAC 10mg/kgの抗炎症効果はSASP 100mg/kgとほぼ同等であった。【結語】TPは、UC症例の程度に比例して炎症組織の間質に高発現し、DSS腸炎マウスの大腸炎組織にも発現することが明らかとなった。TP特異的阻害剤AEACの経口投与によってDSS腸炎マウスの炎症が用量依存的に抑制されたことより、AEACはUCに対する抗炎症効果を有し、UCの治療に応用し得ることが示唆された。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, Thymidine Phosphorylase |