セッション情報 一般演題(初期研修医)

タイトル 01:

多隔壁胆嚢との鑑別が困難であった胆嚢腺筋症の1例

演者 宮本 裕也(済生会松山病院 内科)
共同演者 村上 英広(済生会松山病院 内科), 中口 博允(済生会松山病院 内科), 久米 美沙紀(済生会松山病院 内科), 山本 健(済生会松山病院 内科), 稲田 暢(済生会松山病院 内科), 堀 和子(済生会松山病院 内科), 梅岡 二美(済生会松山病院 内科), 沖田 俊司(済生会松山病院 内科), 宮岡 弘明(済生会松山病院 内科), 岡田 武志(済生会松山病院 内科), 小坂 芳和(済生会松山病院外科), 田中 仁(済生会松山病院外科), 安岡 康夫(済生会松山病院外科)
抄録 症例は52歳、女性。主訴は、右季肋部痛。約半年前から時に右季肋部痛を自覚していたが放置していた。検診の腹部超音波検査で胆嚢の異常所見を指摘されたため当科を受診した。家族歴として、祖父、祖母がともに胆嚢癌で死亡している。腹部超音波検査では、経12mmの結石とともに胆嚢内には数mmのstrong echoが多数みられた。また、胆嚢壁は一部肥厚し、多数の隔壁様構造を認めた。MRCPでも胆嚢は不規則な多数の隔壁様構造で大小さまざまに仕切られており、いわゆるブドウの房状を呈していた。腹部単純CT検査では胆嚢結石を含めて異常所見を指摘できなかった。以上の画像所見から胆嚢結石を合併した多隔壁胆嚢が疑われた。多隔壁胆嚢は、非常にまれな先天異常であり無症状のことが多いとされている。しかし、本症例は、胆嚢結石も伴っており有症状であったこと、祖父母が胆嚢癌で死亡されたことから切除の希望あり当院外科で腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。摘出標本の肉眼所見では、胆嚢壁は肥厚し、内部には隔壁様構造物が見られた。病理所見では、胆嚢は異型のない一層の円柱上皮に覆われており間質は線維性に著明に肥厚し中等度の炎症細胞浸潤を伴っていた。Rokitansky-Aschoff sinusの拡大が確認されたが、多隔壁胆嚢に見られることが多い胆嚢壁固有筋層の隔壁中への移行が見られなかったことから慢性胆嚢炎を合併した胆嚢腺筋症と最終診断した。術前画像診断にて多隔壁胆嚢との鑑別が困難であった胆嚢腺筋症の1例を経験したので文献的考察を加え報告する。
索引用語 多隔壁胆嚢, 胆嚢腺筋症