セッション情報 | 一般演題(後期研修医) |
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タイトル | 21:腹部血管造影施行中に腎被膜下血腫を発症した一例 |
演者 | 平尾 章博(徳島大学病院 消化器内科) |
共同演者 | 田中 貴大(徳島大学病院 消化器内科), 高橋 彩加(徳島大学病院 卒後臨床研修センター), 車 寛子(徳島大学病院 卒後臨床研修センター), 宮本 佳彦(徳島大学病院 消化器内科), 田中 宏典(徳島大学病院 消化器内科), 友成 哲(徳島大学病院 消化器内科), 谷口 達哉(徳島大学病院 消化器内科), 原田 利枝(徳島大学病院 消化器内科), 竹中 英喬(徳島大学病院 消化器内科), 佐藤 桃子(徳島大学病院 消化器内科), 高山 哲治(徳島大学病院 消化器内科) |
抄録 | 【はじめに】腎被膜下血腫は外傷性によるものが殆どであり、外傷を伴わない腎被膜下血腫は極めて稀である。今回我々は腹部血管造影施行中に血管造影下CTにて腎被膜下血腫を認め、術中増大傾向を呈した症例を経験したので報告する。【症例】80歳代 男性。近医にて高血圧の治療及びC型肝硬変の経過観察を受けている。2005年4月肝細胞癌を発症して当院消化器外科にて手術施行された。その後肝細胞癌再発し当科にて肝動脈塞栓術及びラジオ波焼灼療法により治療を行った。しかし半年後に多発性肝癌として再発し、以後3カ月ごとに繰り返し肝動脈塞栓術(repeat TAE)を施行し、今回もTAE目的で入院となった。血液検査ではWBC 3400/μl、Hb 9.6g/dl、PLT 7.3万/μl、PT%活性 92.6%、肝予備能はChild-Pugh Bであった。抗凝固薬や抗血小板薬は内服されていない。入院後4日目に腹部血管造影施行、CTAPを施行したところ右腎被膜下に長径約7cmの血腫を認めた。その後に行ったCTA撮影では、血腫がさらに増大していた。2ヶ月前に撮影したCT検査では右腎に異常を認めておらず、今回の血管造影検査時に発症したものと考えられた。手際よく肝動脈塞栓術を施行し治療を終了した。術後血液検査ではHb 6.2g/dlと貧血の進行を認めMAP輸血施行、止血剤投与し経過観察を行った。その後は特に貧血の進行を認めず、腹部CT、超音波検査でもさらなる血腫の増大は認めず、術後18病日に退院となった。【考察】本例は腹部血管造影施行中に腎被膜下血腫を発症したと考えられる極めて稀な1例である。これまでに腹部血管造影施行中に腎被膜下血腫を発症した報告は認められない。最近、Fangらは心臓カテーテル検査中に腎被膜下血腫を発症した1例を報告し(Int. J Cardiol, 2007)、その原因として腎動脈の微小血栓が関与した可能性を考察している。本例は高血圧性動脈硬化を伴う高齢者であることを考えると、詳細な機序は不明であるものの腎動脈に微小血栓が存在していた可能性がある。高齢化している肝癌患者のTAEを行う際には、腎被膜下血腫の発症にも注意する必要が有ると考えられた。 |
索引用語 | 腹部血管造影, 腎被膜下血腫 |