セッション情報 | 一般演題(初期研修医) |
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タイトル | 32:α-Methldopaによる薬物性肝障害の1例 |
演者 | 近藤 美佳(愛媛大学医学部付属病院臨床研修センター) |
共同演者 | 小泉 洋平(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 石原 暢(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 越智 裕紀(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 多田 藤政(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 徳本 良雄(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 廣岡 昌史(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 阿部 雅則(愛媛大学大学院地域医療学), 松浦 文三(愛媛大学大学院地域生活習慣病内分泌学), 日浅 陽一(愛媛大学大学院先端病態制御内科学), 恩地 森一(愛媛大学大学院先端病態制御内科学) |
抄録 | 【症例】35歳女性、初産婦【現病歴】これまでに肝機能検査異常の指摘はなかった。妊娠第31週の平成23年12月に妊娠高血圧がみられ治療目的に当院産婦人科に入院。入院後α-Methldopa 750mg/dayの内服を開始し、平成24年1月に帝王切開術にて出産した。出産10週後の同3月に家人から皮膚黄染を指摘され、精査目的に当科入院した。【既往歴】35歳:シェーグレン症候群 【家族歴】姉:全身性エリテマトーデス【入院時血液検査所見】WBC 3300 ×103μl、Hb 13.1 mg/dl、Plt 0.9万/μl、AST 879 IU/L、ALT 915 IU/L、T. Bil 7.7 mg/dl、Alb 3.8 g/dl、LDH 309 IU/L、ALP 496 IU/L、γ-GTP 103 IU/L、PT 89.8%、IgG 2410 mg/dl、IgM 98 mg/dl、抗核抗体 2560倍(discrete speckled)、直接クームス試験陽性、間接クームス試験陽性、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性【入院後経過】肝障害の原因として自己免疫性肝炎、薬物性肝障害を疑い、腹腔鏡下肝生検を施行した。肝表面は平滑で、赤色紋理や溝状陥凹はみられず、両葉100番地。肝生検組織像では中心静脈周囲に肝細胞索の乱れがあり、肝細胞の大小不同がみられた。中心静脈領域にd-PAS染色陽性の色素貪食細胞がみられ、急性肝炎と診断した。形質細胞浸潤はみられなかった。DLSTは陰性であったが、JDDW2004のスコアでは7点であり、臨床経過と肝組織所見からα-Methldopaを原因薬物とする薬物性肝障害と診断した。α-Methldopaの内服を中止して保存的に経過観察した。投与中止21日後にはT. Bil 1.4 mg/dl、AST 46 IU/L、ALT 67 IU/Lと改善し、中止37日後に基準値範囲内に改善した。その後、外来にて経過観察を行っているが、肝機能検査は基準値範囲内を経過している。【考察】α-Methldopaは肝細胞障害型の肝障害が2.5%~10%にみられるとされているが、近年は使用頻度が著減し、薬物性肝障害の報告は本邦では稀である。しかし、妊娠高血圧に対する治療薬としてα-Methldopaは安全な薬物とされており、現在でも使用されている。したがって、妊娠中ないし出産後に肝機能検査異常がみられた場合には、同剤による薬物性肝障害の可能性も念頭におく必要がある。 |
索引用語 | α-Methldopa, 薬物性肝障害 |