セッション情報 一般演題

タイトル 13:

プレドニゾロン、アザチオプリン投与中に肺ノカルジア症を発症した自己免疫性肝炎の一例

演者 小川 明子(松山市民病院)
共同演者 木阪 吉保(松山市民病院), 中原 弘雅(松山市民病院), 神野 亜希子(松山市民病院), 野村 佳克(松山市民病院), 田中 良憲(松山市民病院), 村上 信三(松山市民病院), 水上 祐治(松山市民病院)
抄録 【症例】70歳、女性【主訴】発熱、悪心、右上腹部痛【現病歴】平成17年10月に肝機能障害の精査目的で肝生検を行い自己免疫性肝炎と診断し、プレドニゾロン(PSL)40mg投与にて治療を開始した。しばらくPSL10mgに減量し維持療法を行っていたが平成23年9月頃よりトランスアミナーゼの上昇を認め30mgに増量した。ステロイド糖尿病の増悪に対してインスリンコントロールを開始した。PSL減量目的で平成24年6月20日からアザチオプリンを追加した。7月22日より37.9度の発熱と右上腹部痛が出現し、精査目的の単純CTで両下肺野に結節影を指摘された。炎症性変化か悪性疾患の鑑別が困難であり精査予定としていたところ、7月25日38.4度の発熱、悪心、全身倦怠感が出現し当院消化器内科に精査加療目的で入院となった。血液検査で炎症反応上昇と、外来で採取していた喀痰細胞診でNocardiaを多量に認め、またβ-Dグルカン171pg/mlと上昇しており肺ノカルジア症に肺真菌症が合併していることが考えられた。抗生剤はメロペネムとフルコナゾールを用いて14日間点滴治療を行った。炎症反応、臨床症状ともに改善したため、ST合剤とイトラコナゾールの内服に切り替えた。β-Dグルカンの低下と胸部CTでも結節影の縮小を認めた。PSLは20mgまで漸減しトランスアミナーゼが正常であることを確認して退院とし外来で経過観察となった。今回自己免疫性肝炎に肺ノカルジア症を合併した症例を経験した。自己免疫性肝炎の治療でステロイド、免疫抑制剤を長期で使用する場合は、ST合剤の予防投与も検討するべきであると考えた。
索引用語 自己免疫性肝炎, 肺ノカルジア症