セッション情報 | 一般演題(後期研修医) |
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タイトル | 40:大量の腹水を伴った好酸球性胃腸炎の1例 |
演者 | 與座 喜一郎(独立行政法人 労働者健康福祉機構 香川労災病院 内科) |
共同演者 | 井上 秀幸(独立行政法人 労働者健康福祉機構 香川労災病院 内科), 千代 大翔(独立行政法人 労働者健康福祉機構 香川労災病院 内科), 冨田 悠介(独立行政法人 労働者健康福祉機構 香川労災病院 内科), 神野 有子(独立行政法人 労働者健康福祉機構 香川労災病院 内科), 河野 知樹(独立行政法人 労働者健康福祉機構 香川労災病院 内科), 西 理子(独立行政法人 労働者健康福祉機構 香川労災病院 内科), 吉武 晃(独立行政法人 労働者健康福祉機構 香川労災病院 内科) |
抄録 | 症例は10代女性で、主訴は嘔吐と左上腹部痛。花粉症やアトピー性皮膚炎などの既往があるが、家族歴には特記事項なし。3日前から嘔吐と下痢があり近医を受診。ウイルス性腸炎の診断にて点滴加療や内服薬処方や受けた。しかし症状が増悪、緩解を繰り返しながら持続するため、当院救急外来を受診した。初診時の腹部超音波検査では大量の腹水、小腸の浮腫を認めた。CTでも同様の所見があり、同日より入院加療とした。絶食、輸液にて経過観察したが、腹痛が強く、鎮痛剤を頻回に使用した。第2病日の血液検査では白血球11200/μlで、好酸球17.3%と増加を認めた。第3病日の上部消化管内視鏡検査にて食道、胃、十二指腸粘膜全てに浮腫を認め、特に十二指腸で顕著であった。それぞれの部位の生検ではわずかな好酸球浸潤を認めた。第4病日に腹腔穿刺を行い、腹水中に好酸球の増多を認めた。便虫卵検査は陰性で、抗寄生虫抗体スクリーニング検査を行ったが、有意な結果はなかった。以上より好酸球性胃腸炎と診断し、同日よりプレドニゾロン30mg/日を開始したところ、症状は速やかに改善した。第6病日の腹部超音波検査では小腸の浮腫は軽減し、腹水はほぼ消失していた。軽度の食欲低下は残存していたが、第9病日より食事を再開し、食欲も徐々に改善した。第12病日の腹部超音波検査でも腹水は認めず、小腸の浮腫の増悪はなかった。第13病日にプレドニゾロン20mg/日に減量した。第17病日に経過良好にて退院。以後通院中であるが、特に症状の増悪はなく、ステロイドを漸減中である。好酸球性胃腸炎は好酸球の高度の消化管浸潤に伴って消化管障害をきたす疾患である。今回我々は初診時より大量の腹水を伴った好酸球性胃腸炎の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 好酸球性胃腸炎, 腹水 |