セッション情報 合同シンポジウム2「肝胆膵疾患診療の進歩」

タイトル S2-03:

愛媛大学における生体部分肝移植の臨床的検討

演者 伊藤 英太郎(愛媛大学 医学部 肝胆膵・移植外科)
共同演者 藤山 泰二(愛媛大学 医学部 肝胆膵・移植外科), 村上 朱里(愛媛大学 医学部 肝胆膵・移植外科), 田村 圭(愛媛大学 医学部 肝胆膵・移植外科), 竹林 孝晃(愛媛大学 医学部 肝胆膵・移植外科), 佐藤 創(愛媛大学 医学部 肝胆膵・移植外科), 羽田野 雅英(愛媛大学 医学部 肝胆膵・移植外科), 井上 仁(愛媛大学 医学部 肝胆膵・移植外科), 米永 吉邦(愛媛大学 医学部 肝胆膵・移植外科), 亀井 義明(愛媛大学 医学部 肝胆膵・移植外科), 渡邊 常太(愛媛大学 医学部 肝胆膵・移植外科), 高井 昭洋(愛媛大学 医学部 肝胆膵・移植外科), 串畑 史樹(愛媛大学 医学部 肝胆膵・移植外科), 高田 泰次(愛媛大学 医学部 肝胆膵・移植外科)
抄録 愛媛大学では2001年9月より生体部分肝移植を開始し、2012年7月までに46例の手術を実施した。今回、当科における生体部分肝移植症例を集計し、臨床的検討を行ったので報告する。【対象と方法】成人37例、小児9例の生体部分肝移植レシピエントおよびドナーを対象とし、患者背景、原疾患、グラフトタイプ、合併症、治療成績について解析した。【結果】レシピエントは男性19例、女性27例、平均年齢は42.9歳(0歳7ヶ月~66歳)。ドナーは男性27例、女性19例、平均年齢は40.8歳(20~67歳)であった。原疾患について成人では、肝細胞癌(HCV7例、HBV3例)と原発性胆汁性肝硬変が各10例と多く、次いで肝細胞癌非合併ウイルス性肝硬変(HCV5例、HBV1例)6例、劇症肝炎6例、アルコール性肝硬変3例、胆汁うっ滞性肝硬変1例、NASH1例であった。小児では先天性胆道閉鎖症が6例と多く、劇症肝炎2例、Wilson病1例であった。グラフト別にみると、左葉18例、右葉22例、後区域2例、外側区域4例であり、その内PCシャント付きグラフトは8例であった。小児9例のうち、術後グラフト機能不全および慢性拒絶反応を起こした2例に対し、再移植を施行した。ABO不適合移植は2例経験した。術後に再開腹を要した症例は11例あり、内訳は腹腔内出血が最も多く5例、次いで消化管穿孔2例、グラフト血流障害2例、腹膜炎2例であった。術後急性拒絶反応は15例に認められた。46例の平均観察期間は2012年9月の時点で50.1ヶ月であり、5年生存率は成人で65.3%、小児は88.9%(全国集計はそれぞれ71.9%、85.4%)であった。術後早期に死亡した11例の原因は、敗血症4例、肺炎2例、グラフト機能不全2例であり、以下、肝細胞癌再発、脳出血、アスペルギルス肺炎が各1例であった。【まとめ】愛媛大学における生体部分肝移植46例について臨床的に検討した。移植後の感染制御をはじめとする合併症の改善に取り組み、生体部分肝移植の早期治療成績を向上させることが当科における今後の課題と思われる。
索引用語 肝移植, 臨床的検討